本連載で数回紹介しているように、EMMにはMDM(モバイルデバイス管理)、MAM(モバイルアプリケーション管理)、MCM(モバイルコンテンツ管理)の3つの概念がある。
前回は、MAM(モバイルアプリケーションマネジメント)の概要および具体的な管理手法について説明した。今回はMCMの活用によるコンテンツ管理の手法について解説する。
モバイルにおけるコンテンツ管理
モバイルコンテンツ管理で重要な点は、業務で利用する文書ファイルやメディアファイルといったデータに、スマートデバイス上からセキュアかつ効率的にアクセス可能にすることだ。
ご存知のとおりスマートフォンの画面は年々大きくなっており、いわゆるファブレットといわれるものまで登場した。またAppleのiPad ProやMicrosoftのSurfaceの登場などタブレット端末も充実してきており、PDFや画像ファイルの閲覧にとどまらず、WordやExcelの編集といった作業までスマートデバイスで可能な時代になった。
さらに、IDC Japanによれば、法人向けタブレットの出荷台数は2015年では253万台で、2014~2019年の年平均成長率(CAGR)は12.2%。また、タブレットソリューション市場の売上額は2015年では1兆1974億円で、2014~2019年のCAGRは13.8%である。
このような市場の成長に伴い、モバイルコンテンツ管理も一層重要視されていくだろう。
本連載でも何回も記載しているように、モバイルを活用したワークスタイル変革を実現するためには、社内のデータへアクセスすることによるリスクをどのように回避するかが重要な観点となる。
今回解説するモバイルコンテンツ管理を活用することで、このようなリスクを払拭して安心安全に社内のデータへのアクセスや編集を実現し、漏えいなどの不正利用を防止することが可能だ。これには通信やデータの暗号化はもちろんのこと、誰が、いつ、どのデータへアクセスし、編集したなどの履歴も管理することでガバナンスを保つことも可能となっている。
MCM(モバイルコンテンツ管理)とは
では、具体的なモバイルコンテンツの管理手法を紹介していく。
クラウド時代における文書やコンテンツの保存場所はオンプレミスにとどまらない。Boxの提供するクラウドスストレージ「Box」に加え、同ジャンルのMicrosoftのOneDrive、GoogleのGoogle Driveなどを利用するケースや、重要な機密文書は企業内のオンプレミス環境のファイルサーバやMicrosoftのSharePointで保存しているケースもあるだろう。
もちろん、各クラウドサービスを提供するメーカーも、データを流出させない機能や履歴管理などの機能を準備している。ただし、機能が各社で統一しておらず、機能自体もさらなる充実が望まれている状況のため、その他のツールで機能を補完することが必要だ。
ここで、モバイルコンテンツ管理を利用すると、スマートデバイスからのアクセスに対する一元的な管理が実現できる。
当社ではVMwareのAirWatchを導入していることは過去の連載でお伝えしているが、実際にどのような手法で機能提供をしているか例をあげて説明しよう。
前回のMAM(モバイルアプリケーション管理)にて説明したとおり、AirWatchにおけるアプリケーション間連携により利便性を上げながらセキュリティを維持し情報漏えい対策ができている。詳細は、前回を参照していただきたい。