トロント発--Microsoftは、もはや昔のMicrosoftではない。Microsoftのエンタープライズオープンソースグループでコーポレートバイスプレジデントを務めるWim Coekaerts氏がLinuxConに参加した目的は、Linuxコミュニティと和解することだけではなく、顧客のためにLinuxやオープンソースソフトウェアの活動に協力することだった。
MicrosoftがLinuxConのダイヤモンドスポンサーだった。時代は変わった!
提供:米ZDNet
Coekaerts氏は、これを信用しない人が多いことをよく理解している。同氏は、OracleのLinux関連事業を長年率いていたが、5カ月前にMicrosoftに入社した。LinuxConで行った基調講演の中で、「1年前には、Microsoftで働くことなど考えもしなかったが、Microsoftは変わった」と述べた。
Coekaerts氏は簡単に納得したわけではなかった。しかし、数カ月間にわたってMicrosoftと同社のLinuxに対する新しい方針を吟味したことで、同氏はMicrosoftがLinuxとオープンソースに対するアプローチを完全に転換したことを理解したという。
なぜ変わったのだろうか。Coekaerts氏は筆者とのインタビューで、「(Microsoftの最高経営責任者である)Satya(Nadella氏)は、顧客第一主義だ。顧客がLinuxを使っているなら、そして実際に使っていることが多いのだが、Microsoftはその顧客を満足させたいと考えている。これには、オープンでヘテロジニアスな世界で活動する必要がある」と述べている。
このMicrosoftの大転換は、数年間にわたって進められてきた。MicrosoftがCoekaerts氏を雇ったのも、オープンソースの重要性を理解しているためだ。特に、「Microsoftのクラウド製品であるAzureは、オープンソースやLinuxとの親和性が高くなければはならない」と同氏は言う。
Coekaerts氏は、業績に直接影響するもの以外のオープンソースプロジェクトにもMicrosoftとして取り組む計画だと説明した。例えばMicrosoftは、製品化の予定はないにも関わらず、オープンソースPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)である「Cloud Foundry」に貢献する予定だという。
Coekaerts氏が着任する以前にも、Microsoftの開発者がオープンソースプロジェクトに取り組む例はあった。Microsoftの仮想化システム「Hyper-V」のLinux対応などの公式プロジェクト以外にも、「私が知っていたほかにも多くのものがあった。しかし、それらの取り組みはあまり組織化されていなかった。部外者からは見えないだろうが、Microsoftにも以前からオープンな文化は存在した」と同氏は述べている。
最近になってMicrosoftとオープンソースの関係が変わったのは、Microsoft自身と顧客の両方のビジネス課題を解決することに、再び焦点が当てられたためだ。これは何より、LinuxをWindowsと同列に扱うことを意味している。「Microsoftは実際、社内でLinuxを多く利用している。社内ではWindowsだけを使うルールはなくなった」と同氏は述べ、その理由を「Microsoftが解いているのはビジネスの課題であり、われわれが現実主義だからだ」と説明する。
これはMicrosoftだけの話ではない。Coekaerts氏は基調講演で、Azureの仮想マシン(VM)の3つに1つがLinuxであり、Azureに新しく導入されるVMの40%以上がLinuxだと述べた。考えてみてほしい。Microsoftの新規顧客の10社に4社が、Linuxを選んでいるのだ。そして、この数字は増える一方だという。