RHOP 9の主な特長は以下の通りだ。
- 「Red Hat OpenStack Platform(OSP)Director」によるアップデートとアップグレードの自動化:Red Hat OSP Directorの自動化メカニズムと検証メカニズムを通じて、ユーザーによるOpenStack配備のアップグレードが可能になる。OSP Directorは、「TripleO」(OpenStack on OpenStack)というアップストリームコミュニティープロジェクトの成果に基づいたものだ。このインプレースアップグレードツールにより、本番環境のダウンタイムを低減しつつ、OpenStackの最新版を利用するためのシンプルな手段が提供される。
- 「Compute」(Nova)コンポーネントのライブマイグレーション機能の向上と、選択可能なCPUピニング:Computeコンポーネントは、より高速かつ、拡張されたライブマイグレーションプロセスのインスタンスを提供するようになる。これによりシステム管理者は、マイグレーションタスクの進捗状況を監視し、一時停止や再開といった指示すら可能になる。また、新たなCPUピニング機能により、ハイパーバイザの振る舞いを動的に変更できるようになるため、レイテンシが重視されるNFVといったワークロードに対してより粒度の細かいパフォーマンス制御が可能になる。
- 「Block Storage」(Cinder)コンポーネント上での「Google Cloud Storage」向けバックアップドライバのサポート(テクニカルプレビュー):Red HatとGoogleによる継続的コラボレーションの成果の1つであるGoogle Cloud Storage用統合ドライバにより、RHOP 9の災害復旧ポリシーの適用範囲がパブリッククラウドにまで拡張される。これによって、ハイブリッドクラウドをまたがる重要なデータをよりセキュアなかたちでバックアップできるようになる。
Red HatでOpenStackイニシアティブを担当するゼネラルマネージャーRadhesh Balakrishnan氏は、プライベートおよびハイブリッドなIaaSクラウドの顧客を意識しながらも、通信事業者も視野に入れようとしている。同氏は「RHOP 9のリリースにより、われわれのプライベートクラウドを展開する企業や、NFVを配備するサービスプロバイダーの本番環境からの要求に応えられるような機能を今後も追加していく」と述べている。
Red Hatは、ハードウェアとソフトウェアの完全な垂直スタックを法人顧客に提供する、OpenStackのワンストップバイヤーになるために、DellやIntelといったパートナー各社との連携のさらなる緊密化を図ろうとしている。OpenStackを手がけるベンダーの間ではいまだに激しい競争が繰り広げられているものの、Red Hatはとにかくその頂点に立つための取り組みを続けている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。