AuroraについてもEllison氏は「OLTP(オンライントランザクション処理)で重要な機能がない」と指摘。つまり「1つのSQLクエリを複数のプロセスで同時に処理するパラレル実行がないので、大きなデータサイズに拡張できない」「データベースを遠隔地に暗号化して複製できない」「リストアしたり、地域をまたがったフェイルオーバーでデータを失う」「データベースをスケールアップするときにCPUにダウンタイムが必要」といった具合だ。
ここでも同じく「これらの機能は20年以上前のOracle DBに搭載されている」(Ellison氏)
同氏はまた、RedshiftとAuroraについて「OSSではない。Amazonはコミュニティーに何も貢献していない」とも批判している。
Ellison氏の批判は続く。RedshiftやAurora、そしてNoSQLデータベース「Amazon DynamoDB」はAWSでしか稼働しないことに対して、Oracle DBのほかに「Oracle MySQL」「Oracle NoSQL」がオンプレミスやOracle Cloudはもちろん、「Micrsoft Azure」やAWSでも稼働することを挙げた。このことからAWSを「IBMメインフレームよりも閉鎖的」と言い表している。
「IBMメインフレームの互換機を富士通や日立、Amdahlが開発していた。MVS(IBMメインフレームOSの一つ)やCICS(トランザクション処理用ミドルウェア)、IMS(データ管理システム)などはメインフレーム互換機でも稼働していた。AuroraやRedshift、DynamoDBはAWSでしか動かない」
AWSのこれらのデータベースは、Oracle DBやDB2、SQL Server、Teradataなど既存の企業向けRDBアプリケーションと互換性がないことも問題と指摘。可搬性がないことから、もし、AuroraやRedshift、DynamoDBにシステムを移行させようとすると、企業がこれまでにオンプレミスの環境に投資してきた成果をムダにしかねないことにもつながる。
それでは、企業にとって重要となるコストの比較ではどうか。ここでEllison氏は、Exadata Cloud Serviceを中堅中小向けに設計した「Exadata Express Cloud Service」に触れた。このサービスはイベント会期中に発表されたものだ。
同サービスは月額175ドルから利用できることがメリットと説明する。Exadata Express Cloud Serviceは20Gバイトのデータベースを175ドルで管理できるが、同じ容量はAuroraだと245ドル、Amazon RDSのOracle DB Standard Editionで327ドルになる。