本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、米StripeのPatrick Collison 最高経営責任者(CEO)兼共同創業者と、日本マイクロソフトの織田浩義 執行役員常務の発言を紹介する。
「最先端の決済サービスで日本のビジネスとグローバル経済の架け橋になりたい」 (米Stripe Patrick Collison CEO兼共同創業者)
米Stripe Patrick Collison CEO兼共同創業者
オンライン決済サービスを手掛ける米Stripeが先ごろ、日本で正式にサービスを提供開始すると発表した。同社CEO兼共同創業者であるPatrick Collison(パトリック・コリソン)氏の冒頭の発言は、その発表会見で、日本での活動に向けた意気込みを語ったものである。
Stripeが手掛けるサービスは、130以上の通貨で決済の取り扱いを可能にし、企業がeコマースなどのネットビジネスを展開する際に、簡単に決済機能を追加できるようにしたものである。また、セキュリティ対策では、機械学習技術を使って不正な決済を防ぐ機能などを装備。さらに、決済に付随する会計管理や請求書の作成、法令順守の確認などの関連作業も一元管理できるとしている。
同社がこのサービスを米国で始めたのは2012年。以来、スタートアップから大手の企業まで世界中で数十万の取引実績があり、FacebookやTwitter、Salesforce.com、日本でも既に全日本空輸(ANA)などがユーザーとして名を連ねている。企業にとっては初期費用や月額の基本料金は必要なく、取引額の3.6%の手数料を支払う仕組みとなっている。
Collison氏によると、同社のサービスは2015年に米国のオンライン決済の約4割に利用されたという。その実績から、米国では今最も躍進を遂げているFinTech企業として注目を集めているようだ。
同社のビジネス展開における大きな特徴として挙げられるのは、金融機関との協業を前提としていることだ。そのため、複数の金融機関と資本提携も行っている。
日本でのビジネス展開にあたってもそうしたスタンスから、三井住友カードと戦略的パートナーシップを結んだ。三井住友カードは昨年来、Stripeのサービスのベータ版を扱ってきた経緯がある。会見には三井住友カード取締役会長の島田秀男氏も登壇し、「Stripeとともに日本のクレジットカード決済の裾野をさらに拡大していきたい」と意気込みを語った。
三井住友カード取締役会長の島田秀男氏(左)とStripeのCollison氏