2010年創業のStripeは、当時マサチューセッツ工科大学(MIT)数学科の学生だったCollison氏が、ネットビジネスの立ち上げで実際に苦労した経験をもとに、弟のJohn Collison氏と共に設立した企業だ。2016年6月にはオバマ大統領からグローバル企業家大統領大使(Presidential Ambassador Entrepreneurship)にも指名された。
まだ学生っぽい面影が残るCollison氏だが、会見でのスピーチは堂々たるもので、独特のオーラを感じさせた。注目すべき経営者である。
「新しい働き方カルチャー創造への取り組みを支援したい」 (日本マイクロソフト 織田浩義 執行役員常務)

日本マイクロソフト 織田浩義 執行役員常務
資生堂が先ごろ、日本マイクロソフトの協力のもと、オンライン会議で通信中の画面に表示される顔に自動でメークや顔色補正を行うアプリ「TeleBeauty」を開発したと発表した。女性の活躍を応援し、楽しみながら仕事が続けられることを狙いとしている。
日本マイクロソフトの執行役員常務で働き方改革を具現化するテレワークの推進担当役員も務める織田氏の冒頭の発言は、その発表会見で、資生堂の取り組みに対するマイクロソフトの姿勢を語ったものである。
資生堂は日本マイクロソフトの技術支援を受け、法人向けオンライン会議サービス「Skype for Business」に対応したTeleBeautyの試用モデルを開発し、日本マイクロソフトが10月17~21日に実施する「働き方改革週間 2016」において試験運用を行う。また、9月から11月の期間、日本マイクロソフトの女性社員100人を対象にした試験運用も実施する。
資生堂は今回の取り組みの背景として、業務効率化の観点や育児・介護などの家庭の事情により、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を具現化するテレワークを利用する女性が増えていることに着目。
テレワークを行う際に発生する女性ならではの悩みを調査した結果、外出予定がない在宅勤務時にオンライン会議のためだけのメークを負担に思っていることや、プライベートである自室の映り込みを好まないこと、PCのカメラ性能によっては肌がきれいに見えにくいといった不満が挙げられたとしている。
そこで同社は、これまで培ってきたメーク技術やメークのシミュレーション技術などを活用してTeleBeautyを開発。顔を映すだけで画面上の顔にメークを施すほか、顔色の補正や顔以外の部分をぼかす機能などを搭載した。リアルタイムで顔の動きに連動するため、実際にメークしているように感じられるという。また、会議前に手間がかからないように、簡単に操作できるようなデザインに仕立て上げたとしている。
会見で説明に立った資生堂 執行役員の副島三紀子氏は、「日本マイクロソフトの協力のもと、楽しく美しく働くことができるための仕組み作りをさらに追求したい」と語った。これを受け、織田氏は「TeleBeautyによってSkype for Businessにさらに魅力的な価値を加えていただいた」と謝意を示し、続けて述べたのが冒頭の発言である。
今回の資生堂の取り組みは、マイクロソフトにとってSkype for Businessを含めた同社のクラウドサービス「Office 365」の普及拡大にもつながるものとなるだろう。まずは両社が協力して行う試験運用の成果に注目しておきたい。

資生堂 執行役員の副島三紀子氏(右)と日本マイクロソフトの織田氏