海外コメンタリー

Linuxやオープンソース関連の企業はいかに収益を生み出しているのか - (page 2)

David Gewirtz (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2016-11-30 06:30

一定の投資利益率(ROI)を期待せず、必要ともしない

 その一方、オープンソースソフトウェアはさまざまな経済モデルによって推し進められている。オープンソースプロジェクトには、開発者が自らのニーズを満足させるためにソリューションを生み出し、その開発後にオープンソースとしてコードを公開したものが数多くある。

 このようなことは、ソフトウェアを事業として手がけたくない個人や企業が、他者に無償で価値を提供したいと考えた際に起こり得る。また、自らのプロジェクトをオープンソース化すれば、追加のプログラマーを雇用せず、コストもかけずに開発リソースを大幅に拡充できると考えている場合もある。

 またそれ以外にも、教育機関や非営利組織によって、あるいは趣味のプロジェクトとして始められたオープンソースプロジェクトもある。いずれにせよ、こうしたソフトウェアは収益を保証する事業計画を必要としない、オープンなコードベースとして提供されるようになる。このモデルでは、ソフトウェアへの投資に先立って一定の投資利益率(ROI)を保証する必要はない。

その他の経済モデル

 オープンなソフトウェアを推進するための経済モデルとして他に、コミュニティーエディションやフリーミアムモデルといったものもある。一般的に(こうした言葉の境界はあいまいだが)、コミュニティーエディションというモデルは企業がある製品を開発した後で、それをオープンソースのソフトウェアとしてリリースするというものだ。このモデルでは、ソフトウェアを開発した企業はサポートリソースに投資せず、サポートの提供はユーザーの手に委ねられる。

 コミュニティーエディションというビジネスモデルは、インストールとサポートで、そして場合によっては追加のプレミアム機能で収入を得るというものだ。自らで面倒な作業を実施したくないという顧客は、対価を支払ってサポートや訓練、メンテナンス、企業が作り出したサービスを提供してもらうことになる。

 このようなコミュニティーエディションを採用している企業の1つがSugarCRMだ。2004年の設立当時、同社はコミュニティーエディションを全面的に押し出していた。マーケティングという観点から見たこの戦略のメリットは、コミュニティーエディションがさまざまな点で、無償のトライアルとして機能するところにある。ダウンロードが無償であれば、多くのユーザーは使ってみようという気になる。そしてこうしたユーザーの一部はお金を払う顧客になってくれるはずだ。

 SugarCRMのコミュニティーエディションは現在も提供されているが、同社のトップページからリンクをたどってダウンロードするのは至難の業となっている。筆者は結局、Googleで「SugarCRM community download」を検索することでしか適切なページにたどり着けなかった。

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