Rethink Internet:インターネット再考

「私が次に知りたいコト」はGoogleが握っている(後編)--未来は今の地続き

高橋幸治

2016-12-04 07:00

「情報」の解析に「願望」を差し挟まない人工知能の優位性

 前編の通り、もちろん、クラウドという名の「閻魔帳」に記録される私たちの「情報」は今後ますますその量を増やし、幅を広げ、多岐に渡っていく。その中には単なる趣味趣向や購買傾向だけでなく、ウェアラブルコンピュータをはじめとする身体装着型のデジタル端末を介して吸い上げられる身体情報も含まれていくだろう。

 その結果、放置していたら死に至ったかもしれない深刻な病を早期に発見できたりすることもあり得るかもしれない。こうした「予測産業」は災害時における避難所などでも有効に活用できるだろうし、医療機関や介護施設などでも効力を発揮する可能性は大きい。従って、すべてが予測される未来が私たち人間にとってユートピアなのか、ディストピアなのか、その答えを安易に断定することはできない。

 11月8日に実施された米国の大統領選挙では、マスコミの大方の予想を覆し、共和党のDonald Trump候補が民主党のHillary Clinton候補を破って時期大統領に確定したが、その裏で、インドのGenic.AI社が開発した人工知能「MogIA」が、投票日の10日以上前にTrump氏の当選を予測していたことが話題になった。

 今年6月23日にイギリスで国民投票が行われたいわゆる「Brexit」(EUからのイギリスの脱退問題)のときも、やはりほとんどのマスコミは最終的には国民の意思は残留に傾くだろうとの見解を示していた。ところが、大統領選挙も英国のEU離脱も蓋を開けてみればまったく逆の結果となっている。

記事
11月17日に「ZDNet」に掲載されたGenic.AI社の人工知能「MogIA」にまつわる記事。同社のAIは10月28日の時点でTrump候補の当選を予測していた。

 可視化などという言葉を使うと陳腐なビジネス用語のようになってしまうけれども、新しいテクノロジというものは常にそれまで見えなかったものを見えるように、または見えにくかったものを見えやすくする。それはある特定の人々の存在であったり、それまで表層に浮上することがなかった人々の意思や心情であったり、人々の心に抑圧され沈殿していた言葉であったりするだろう。

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