座談会@ZDNet

新たなビジネスモデルをいかに作るか--次世代SIer座談会(2)

小船井健一郎 山田竜司 (編集部)

2017-02-02 07:00

 システムインテグレーターは現在、クラウドの利用や大規模案件の減少、アジャイル開発の普及などにより、既存の人月のビジネスから岐路に立っている。何を提供し、どのようなビジネスモデルならこれからも多くの企業に必要とされる存在であり続けることができるのか。先進的な取り組みをしているSIerがこれまでの取り組みや展望を語る。今回は2回目。参加者は以下の5人。(第1回)

参加者

  • NTTコミュニケーションズ エバンジェリスト 林雅之氏
  • セゾン情報システムズ常務取締役 最高技術責任者(CTO)小野和俊氏
  • クリエーションライン 代表 取締役社長、安田忠弘氏
  • アイレット(クラウドパック) 執行役員 エバンジェリスト 後藤和貴氏
  • アバナード ケイパビリティ・デベロップメント・ディレクター 和田玄氏
  • 司会 ZDNet編集部 山田竜司

いまのSIビジネスに対する認識

いかに海外の先進事例を伝えるか

 和田氏:アバナードはエンジニアの会社なので手を動かしてものをつくっています。しかし油断していると、どんどん一般的な、ジェネラルな方向に人が寄っていってしまう。ですから、あえてテクニカルに完全に寄ったMVP(Microsoft Most Valuable Professional)的な人や、プロジェクト管理に特化した人もある程度そろえています。そうしたバリエーションを担保することに注意して、人の管理・育成をやっています。


アバナード ケイパビリティ・デベロップメント・ディレクター 和田玄氏

 エンジニアの管理は、ひと昔前のマイクロソフトのソリューションに比較的似ています。たとえばインフラでは、Share Pointのコラボレーションや大規模.NET(ドットネット)開発がありますが、今は顧客からのニーズがものすごく多様化しているので、それだけだとまったく担保できません。

 そのためDevOpsなど業種の観点の製品やサービス、エンタープライズアーキテクチュアなど横断的なアーキテクチュア、クラウド戦略をリードする業務ごとの専門家によるコミュニティをつくり、そこに全社員が所属して学んでいます。それに加えて、3万人ほどいるグローバルなアバナードの従業員同士で情報交換もしています。当たり前ですけど、米国で使ってるAzureと日本で使ってるAzureはそれほど違いません。Windows Serverは英語版でも日本版でも変わらないので、そこでの情報交換は僕らにとってものすごく価値がある。

 そうした活動を積み重ねながら、僕らは顧客に海外の先進的なデジタル、クラウドの使い方を教示することに取り組んでいます。クラウド、デジタルの使い方に関しては海外の方が進んでいます。われわれの海外ネットワークを使って、それをお顧客に示す。

 例えばイタリアの銀行でやっているソリューションを日本の銀行に紹介すると「なるほど。うちだったらどうなのかな」というところから議論がスタートします。さらに、興味を持った顧客には「僕らはシステムのことはわかりますが、業務のことはみなさまのほうがお分かりですよね」と言う。そこで話を広げていき、「僕らが提供できる価値って何ですかね」と問いかけてビジネスにつなげています。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. ビジネスアプリケーション

    AI活用の上手い下手がビジネスを左右する!データ&AIが生み出す新しい顧客体験へ

  3. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  4. ビジネスアプリケーション

    インシデント対応における生成AIの活用に脚光、調査レポートから見るインシデント管理の現状

  5. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]