こうした反省をふまえて、Elastic Stackはバージョン5.0から大きな方針変更を行った。Elasticsearch、Kibana、Logstash、Beats、X-Packのいずれもがバージョン5.0に統一されたのだ。「今後についても、全て同時にリリースを行い、バージョンを揃えて提供していく」(バノン氏)
ユーザーがシンプルに利用できる環境が整ったことで、「本当の意味での検索と分析がここから始まることになる」と導入事例とともに、どのようにElastic Stackがどのように使われているのかを紹介した。
60%以上のユーザーは、検索や分析に利用している。eBayは10億のドキュメントをソートし、これをまとめるための分析エンジンとしてElasticsearchを利用している。
40%以上の顧客は、システム運用のログ分析にElastic Stackを利用している。例えば、Verizonではウェブサーバ、アプリケーションから1日あたり1.2Tバイト以上のログを収集する。
「検索となるとインデキシングを気にする必要はないが、ロギングとなるとより多くのドキュメントをすばやくインデキシングすることが重要になる。ロギング問題を、オープンソースでいかに解決するべきかが重要な課題となっていた。ここにElasticsearchを利用することはわれわれ自身が言い出したことではなく、色々なものが試され、Elasticsearchが残った。これは実力があったからこそだと思っている」(バノン氏)
セキュリティのユースケースは年200%増加している。これは、「ログデータは多くの関連性を持っている。セキュリティだけでなく、汎用的にさまざまな課題を発見できる。セキュリティでの利用は、データの中に潜んでいる攻撃者を見つけ出すことができる」(バノン氏)とデータから課題を見いだすことができることを生かしての用途だ。
シスコシステムズの場合は、AMPクエリ130億、メール6000億、Webリクエスト160億というスケールの中、Elasticsearchを利用している。
新しいユースケースも生まれている。Elastic Stackは、75%のユーザーが複数のユースケースで問題を解決する基盤としてElastic Stackを利用している。
NASA(米航空宇宙局)では運用分析、フライトテレメントリ分析、異常事態の解決、内部検索エンジンで利用している。
Goldman Sachsでは、エンタープライズ検索、イントラネット検索、リアルタイムログ解析、法務契約レポジトリ、トレード追跡アプリケーション、人的リクルートアプリケーションに活用している。この中で特筆すべきが法務契約レポジトリで、「検索エンジンとしては最も難しい用途での利用だが、テクノロジを駆使する金融大手の同行でElastic Stackが利用されている」とアピールした。
Elasticのクラウドビジネスも大きく成長している分野で、2015年3月以来、250%成長となっている。Elastic Cloudはさまざまな形態で提供しており、現在はAWSで利用が可能なほか、Google、Microsoft、IBMのクラウド上にも実装を予定している。「どのプロバイダーを選択するのか、選択肢を提供する」ことが目的となる。
その一方で、オンプレミス環境での利用を望むユーザーもいることから、Elastic Cloudを単体製品として提供する。複数のElastic Stackのプロビジョニング、オーケストレーションおよび管理を実現。Elastic Cloudサービスと同じ技術基盤を持つ。また、GAを2017年第1四半期に提供することを予定している。
2017年3~4月頃にリリースを予定しているのが、動作分析と自動機械学習行うPrelert。Elastic Stack上のフィーチューの1つとして利用することができる。
また、2017年3月にはサンフランシスコで3回目のユーザーカンファレンスの開催も予定しており、ここでもさまざまな新たな発表を行う予定だとしている。