実際のところ、Dockerに精通した従業員を多数抱えている企業の上位10社には、ベンダーが数多く入っている(IBMとCisco Systemsが上位を占めている)が、AppleやVerizon、GEも名を連ねている。詳しく見てみると、Dockerはヘルスケアや保険といった垂直業界に強く、明らかにメインストリームになってきていることが示されている。
Dockerは、その初期において新興企業向けの技術だという批判もあったが、Mullany氏の分析によると、実際には大企業が最も急速に採用を進めているという。全般的に見た場合、LinkedIn上でDockerをスキルとして挙げている人たちは10万5000人以上にのぼっている。この数字は、150万人がスキルとして挙げている「.NET」などに比べると見劣りするかもしれないが、コンテナ化という未来に向けた力強いトレンドを表している。
AWSがそれを許せば、という話だが。
ステップファンクションへの道
Googleのエンジニア(そしてApigeeにおける開発者支援の元責任者)であるAlan Ho氏は、「AWS Lambdaはツール面での制約がいくつかあるものの、プログラミングモデルとコストモデルという点から未来を担う製品だと言える。私の持論では、Dockerはわれわれがこの10年間で目にしてきた『仮想化』の進化における段階の1つだ。AWS Lambdaは『AWS Step Functions』でステップファンクション(アプリケーションの各コンポーネントを一連のステップとして組み合わせ、ワークフローとして完成させる)に向かう道を進んでいる」と述べ、Dockerやコンテナ革命は新たな大規模イノベーションというよりも、むしろ仮想化を徐々に改善したものと言ったほうが適切だと主張している。
もちろんながら、市場はサーバレスコンピューティングに向けた劇的な変革よりも、緩やかな進化を好む可能性もある。しかし、筆者はそのようになるとは考えていない。Expediaに代表される一部の企業は、既にAWS Lambdaに多大な投資を行ってきている。そして、他社もExpedia(同社のテクノロジ担当バイスプレジデントによると、1カ月に23億件のLambdaトランザクションを処理しており、その数はなおも増え続けているという)に続こうとしている。