2000年代前半、Microsoftはロボティクスに全力で取り組んでいた。2000年代中頃になると、同社はロボティクス分野をほぼ見限ったように見受けられた。しかし2017年は、Microsoftが複数の方面でロボティクスへの取り組みを再開する用意が整った年かもしれない。
Microsoft創業者のBill Gates氏がまだ同社の日常業務に携わっていた頃、ロボティクスは同社の次の目玉になる可能性があった。MicrosoftはLEGOロボットから産業規模のロボットまで、あらゆるロボットに取り組む開発者向けにプログラミングモデルとフレームワークを構築した。しかし、そのツール「Microsoft Robotics Studio」が学者やホビイストのコミュニティーを越えて拡大することはなかった。そして、同社のこの分野に対する野望は後退した。
現在、Microsoftのロボティクスへの取り組みの主要な拠点はMicrosoft Research(MSR)、具体的には、エグゼクティブバイスプレジデントのHarry Shum氏が統括するMicrosoft AI and Research Groupに移ったようだ(ここで「のようだ」と書いたのは、Microsoftのロボティクスへの取り組みに関して、筆者の質問への関係者から回答はないためだ)。Shum氏はコンピュータビジョンやグラフィックスの研究で知られており、カーネギーメロン大学でロボティクスの博士号を取得している。
ボットフレームワークおよびサービスを構築して、Skypeや他社のメッセージングサービスにMicrosoftやサードパーティーのチャットボットを展開するMicrosoftの取り組みは、このチームが公表している使命の1つだ。しかし、公にされていない取り組みも多数存在する。
2016年6月、MicrosoftはAerial Informatics and Robotics(AIR)と呼ばれる研究チームを立ち上げた。このチームの役割は、「安全で、私たちの社会によい影響を及ぼす用途を実現するインテリジェントな自律飛行エージェントを構築すること」だ。この自律飛行エージェントは「飛行ロボット部隊」としても知られる。このチームのウェブサイトによると、AIRグループの中核的な技術は、Microsoftが行っている機械学習とロボティクスの研究を発展させたもので、超小型UAVから商用ジェット旅客機まで、さまざまな飛行ロボットで構成される部隊の実現を目指しているという。
サイトには、「アルゴリズムとシステムを統合することで、クワッドローターや滑空機、小型航空機、民間航空機などの航空機を実現する。応用のシナリオとしては、精密農業の監視、病原体の監視、気象の検知、デジタル接続の実現などがある」と書かれている。
今日のMicrosoft Researchの狙いが、研究のための研究ではなく、なんらかの形で商用化する可能性のある研究であることは、あらためて認識しておく価値はある。最近のMicrosoft ResearchのStrategic Prototypingチームの求人では、実際に自律型ロボットを導入するためにロボティクスのさまざまな面に取り組む「極めて優れたソフトウェア開発エンジニア」を求めている。
提供:ZDNet
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。