この調査では、IT部門の意識だけでなく経営者の意識についても聞いているのですが、今回(2016年)の調査では、経営者の意識とIT部門の意識にはほとんど違いがありませんでした(図2)。
唯一の違いとしては「新規事業創造やビジネスモデル変革」は経営者においては2014年の時点から高い重要性が認識されていたものの、IT部門ではやや認識が低かった点です。
2年前は、「働き方・組織運営の変革」や「顧客関係・マーケティングの変革」については、IT部門が関係しているが、「新規事業創造やビジネスモデルの変革」はユーザー部門の責任範囲であり、IT部門はあまり関係がないとの認識が以前は強かったのではないでしょうか。
しかし、今回の調査では経営者と同等に、また他の2つのイノベーションと同等に重要性を認識するようになっていることが明らかとなりました。ITやデジタル技術を活用した「新規事業創造やビジネスモデルの変革」に対してもIT部門が積極的に関わっていかなければならないという認識が高まったことの表れといえるでしょう。これにより経営者の認識とIT部門の認識が以前よりも一致してきたと言えます。

図2.3つの方向性のイノベーションに対する経営者の認識 出典:ITR(「デジタルイノベーション動向調査」2014年11月実施:281件、2016年4月実施:259件)
IT部門は、経営者やユーザー部門の課題やニーズに目を向けて、3つの方向性のどれを優先的に取り組むべきかについての方針を打ち立てていくことが求められます。