トップインタビュー

羽田空港で実証、“人がサポートする対話エンジン”でAIを必需品に--Nextremer - (page 3)

飯田樹 山田竜司 (編集部)

2017-03-02 07:00

--ブイキューブは今回のAIも含めて、ドローンビジネスなど最新のテクノロジを取り入れるのに長けている印象ですが、どういった背景があるのでしょうか。

 高見:実は1〜2年くらいは社内で研究をして、表に出ない状態で動いています。ある程度顧客やモデルが見えたタイミングで一斉にアクセルを吹かすので、常にネタとしてはいっぱいあるのです。代表含め、個人ベースでも「こういう話がある」というのを社内で共有すると、化学反応が起きて、一斉にスタートアップする感じです。

 これからは人とコンピュータやマシンのコミュニケーションになり、将来的にはコンピュータとコンピュータが会話する世界が来ることだけは分かっているので、今回のように人とコンピュータをつなぐことにも、会社として違和感がありません。今はスマホでウェブ会議をするのも当たり前という会社も増えてきている印象ですが、日本で一番先に着手してサービス化したのはわれわれですし、新しいことに対しての心理的障壁が低く、やった方がいいことがあればチャレンジするという文化はあると思います。

--両社ともオープンイノベーションの文脈ではフットワークが軽く、いろいろなところと組んでいる印象がありますが、途中で頓挫せず、成果に結びついているのはなぜでしょうか。

 高見:頓挫したところの理由がわからないため適切な回答かわかりませんが、ブイキューブとしては、コミュニケーションサービスを広めるためにロボットなどと組み合わせることは必然だと思っているので、スピード感や価格帯、企業の価値観が合うところと組ませていただいています。ある程度お互いが見ている将来、ビジョンが合っている企業でないと、どこかでうまくいかなくなりますね。

 向井:企業に“出島”のような、外部とやりとりする機関がときどきありますが、トップに行くと全然話が通っていなくて時間がかかるということはあると思います。お互いにトップ同士でビジョンを共有できていることが大事だと痛感しています。

--Nextremerは東京、高知、インド、ブイキューブは和歌山、仙台、シンガポールと、両社ともいろいろなところに拠点がある印象ですが、そこで変わる視点はありますか。

 向井:研究開発型での開発スピードを考えると、三振を続けてもどこかで大ホームランをポーンと打つ方が良いので、そのためには、いろいろな人がいたほうが良いのかなとは思います。日本の教育は一般化しているので、スーパーエンジニアの割合は東京でも地方でも変わらないという認識です。そのため、高知だと上澄みのエンジニアの方たちがみんな来てくれるのです。

 高見:ブイキューブは開発系を仙台とシンガポールで拠点を持ち、和歌山は営業などのオフィス系なので毛色が少し違います。仙台にいらっしゃる優秀な方に来ていただく機会があるかもしれないですし、地元に住んでいる方が働ける場所を作らせてただいているという意味では、多様性が特徴ではあるので、関連しているかもしれません。

--Nextremerの今後の展望をお聞かせください。

 向井:短期的には、これからの数年で案内業務やチャットボットのようなものが、「これ必要だね」「普通の生活に入ってきた」となるようにしたいです。例えば、会社に新人が入ると、初めは「使えないけど面白いからいいか」と言っていたのが、そのうち「30%くらいしっかり働いているし、いないと困るよね」となる。われわれのシステムも、そのくらいの許容度になれば”need to have”になるので、それをめざしています。一方で、ロボティクスなどに関連したところとの研究も実用化に入っていくと思っています。

 “need to have”になるマーケットとしては、銀行窓口も含めて、労働力が減っているなかで人が不足している分野が結構あります。対話エンジンで今対応できていることは、羽田空港であれば「トイレどこですか」などの質問に答えるという、誰でもできる業務です。

 そこはコンピュータに任せて、人間は付加価値の高い仕事をやるべきではないかと思っています。2つ目は、先ほど出てきたセンタライジング化、3つ目はマシンの方が良い場面があるという話です。例えば、保険を買うか決めていないのに、いきなり人に来られるのは嫌ですが、botだったら話を聞いてみようとなりますよね。


AIで対応できない部分は人がサポートする

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

マイナンバーカードの利用状況を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]