--御社のRPA提供体制を教えてください。
1500ロボットを3〜4人で見ているという状態です。2015年時点では1000~1200ロボットくらいが稼働していて、従業員1人、役員2人だったのですが、ブームが来た影響でパートナーが増えたので、各業界のノウハウを持った人やエバンジェリストを増やしました。また、分社化してRPAエンジニアリング株式会社を作る構想があります。全社規模でRPAを導入するとなった時にエンジニアが枯渇しますし、それはパートナーも同様です。今パートナーの会社と、日本のソフトウェアの会社4社くらいで、50人くらいの体制を作っていまして、それを子会社化しようとしています。
また、日本RPA協会としては2月7日からRPAクリニックというのも始めています。これはユーザーサイドに立った適切なRPA検討ができるように、相談者の希望に合わせた失敗事例と成功事例を、RPA導入企業から情報提供してもらうというものです。何に気をつけるべきか、どういうベンダーさんがいるかを聞いてもらいます。
--2016年が「RPA元年」として、今後の展望は。
私の主観的な話としては、「RPAを使いこなしたら楽しい時代に進化する」ということをずっと言っています。日本のオペレーションには工場のフレームワークが残っていてルーチンワークが中心であり、現場の意見が吸い上げられることは少ないですが、現場に行くと優秀で、いろいろなアイデアがあることがある。そこのルーチンワークを開放していくというのが一つあります。次は、現場にあったけれど諦めていたアイデアを、ロボットに実装して収益を上げているような事例です。
私が一番救いたいのは現場の人たちで、特に現場のお母さんたち。国家として何が一番大事かと言ったら、子供です。低賃金で作業をするお母さんが疲れて帰ってきて、子供が何を見るか。ロボットを使って作業時間が半分になれば、楽しくなるじゃないですか。長期的に見た場合、私は日本型のRPAは確実にそういう世界に行けると思っているんです。日本は現場が強いので。
この先、RPAという言葉はなくなると思います。そして、デジタルレイバー部が人事部の横にできるのです。各事業部が派遣社員を雇う時代は終わって、デジタルレイバー部に「来月1万件の処理があるから、RPAをよこして」と言うようになる。
デジタルレイバーを作る人がいて、直す人がいて、KPIをチェックする人がいるという状態です。社員が何をやっているかを可視化できるツールを活用すれば、どの社員がどの作業に時間を使っているかを簡単にモニタリングできます。それをデジタルレイバーがウォッチすれば「この部署にデジタルレイバーを」となる。現場がしんどいから「予算取って派遣社員呼びますか」ではなく、センター主導でウォッチして、レスキューできるようになるのです。2018年は全国規模でRPAが展開されるでしょう。