本連載の前回は、調査結果をもとにIT部門のイノベーションへの取り組みに対する意識について紹介しました。今回は、IT部門がイノベーションを担う組織となり得るのかについて考えたいと思います。
イノベーションに向けた体制の整備
まずは、前回と同じ調査から、イノベーションに向けた組織体制の整備状況について見てみましょう。3つの方向性のそれぞれの変革を推進する組織があると回答した企業は、全てにおいて増加傾向にあることが確認されました(図1)。
図1:3つの方向性のイノベーションに向けた体制の整備出典:ITR(「デジタルイノベーション動向調査」2014年11月実施:281件、2016年4月実施:259件)
なかでも、「働き方・組織運営の変革」の体制整備が最も進んでおり、7割近くの企業が「ややあてはまる」以上の回答となりました。以前低かった「新規事業創造やビジネスモデル変革」を推進する組織での同回答も6ポイント以上の上昇を示しています。
具体的な推進部門を見ると、いずれの方向性についても経営企画部門が最も多く、中心的な位置づけとなっていることがわかります(図2)。「働き方・組織運営の変革」では他と比べて人事部門が多く、「顧客関係・マーケティングの変革」で営業・製造などの各業務部門が多い傾向にあります。「新規事業創造やビジネスモデル変革」はIT部門の関与が相対的に低く、新設された専門の部署の比率がやや高い傾向にあることがわかりました。
図2:3つの方向性のイノベーションの推進部門 出典:ITR(「デジタルイノベーション動向調査」2014年11月実施:281件、2016年4月実施:259件)