Salesforce.comは、同社の人工知能(AI)プラットフォームである「Einstein」をアドオンのかたちでさまざまな自社クラウドサービスに統合した。もしもEinsteinが期待通りの力を発揮すれば、同社は売上高を伸ばし続けるための素晴らしい武器を手にしていると言えるはずだ。
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Einsteinをさまざまな自社サービスの一環として利用可能にするという戦略は、有機的な成長と、売上目標の達成という観点から見れば優れた方法だと考えられる。
同社は2018会計年度の今後を見据えた戦略会議を開催するとともに、同社プラットフォームを横断するかたちでEinsteinを統合した「Spring '17」リリースの提供を開始している。具体的には、「Sales Cloud」や「Service Cloud」「Marketing Cloud」「Commerce Cloud」「Analytics Cloud」「Community Cloud」すべてでEinsteinの統合とアドオン機能が実現されている。
またSalesforceは、AI活用を目的としたIBMとの提携も発表している。この提携により、両社はEinsteinと「IBM Watson」のシームレスな連携を実現する。つまり、大々的にマーケティング活動を実施している2大AIブランドがタッグを組んだというわけだ。WatsonはIBMの未来を支えるマーケティング上の強力な武器となっている。SalesforceもEinsteinという名前を武器の一つとして前面に押し出してくるだろう。企業であれば自社クラウドにEinsteinという名称を冠したいと考えるはずだ。
SalesforceとIBMはAPIを統合し、IBMのBluewolfコンサルティング部門が、WatsonとEinsteinを組み合わせた機能を顧客が迅速に導入できるよう支援する。また、IBMはSalesforceのService Cloudを採用する。
Salesforceの最高経営責任者(CEO)Marc Benioff氏は、Einsteinのリードスコアリングと「Salesforce」の主要顧客であるAmazon Web Services(AWS)を引き合いに出した。両社は提携関係にある。AWSのマーケティング責任者であるAriel Kelman氏は、まだ初期段階だがAWSはEinsteinのリードスコアリングをはじめとするツールを同社の販売プロセスを通じて活用していく計画だと述べている。