サンフランシスコで米国時間10月4~7日に開催された、Salesforce主催の大型カンファレンス「Dreamforce」で、あるパートナー企業の役員は「このカンファレンスが(夢を意味するdreamという言葉を使って)Dreamforceと名付けられているのには、それなりの理由がある。Salesforceは確かにマーケティングには長けているが、このAIがいつ現実に使えるようになるかは誰にも分からない」と皮肉を飛ばした。
Dreamforceで発表された機能が実現するには時間がかかることが多いため、懐疑論が出るのも当然ではあるが、Einsteinの「人工知能」(AI)サービスの一部はすでに利用可能になっている。提供されている機能のほとんどは、Salesforceが過去1年から18カ月間で行ってきた、AI関連の企業買収で獲得したものだ。Salesforceによれば、「Marketing Cloud」と「Sales Cloud」で近日中に利用できるようになるいくつかの機能は、ExactTargetとHerokuの買収から生まれた機械学習やその他の技術を利用して、有機的に開発が進められている。
筆者が見たところ、Dreamforceのいくつかの基調講演で示された、マーケティング用のアーキテクチャ図に描かれている「プラットフォームサービス」層の部分は、まだ実現されていない。この図は単なるビジョンではないとSalesforceは主張しているが、一連の買収企業をすべて取り込んで、整合性の取れたサービスやAPIを提供するには、それなりの統合作業が必要となる。Dreamforceで説明された、一部の融合したEinsteinの機能を提供できるようになるのは、その作業が終わってからだ。以下では、役員に対するインタビューや、Dreamforceで出展されていた「Einstein Discovery Center」で見聞きした情報から導き出した、期待されるサービスやその提供時期に関する情報をまとめてみたい。
「Analytics Cloud Einstein」による「よりスマートなインサイト(知見)の発見」
Dreamforceで明らかになったのは、Salesforceが最近買収したAI関連企業BeyondCoreは、同様の10社あまりの買収企業のうち、Einsteinにとって(少なくとも、機械学習ベースのデータディスカバリと分析に関しては)もっとも重要な企業として位置づけられているということだ。BeyondCoreはAnalytics Cloud Einsteinの「よりスマートな知見を発見する」機能を実現しているエンジンであり、この機能はすでに利用可能になっている。
「Dreamforce 2016」で説明された「Einstein」のすべてのサービスが利用できるようになるのは、6カ月後だろうか、8カ月後だろうか、それとも1年以上かかるのだろうか?