海外コメンタリー

セールスフォースのAIプラットフォーム「Einstein」に期待すること - (page 2)

Doug Henschen (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-10-14 06:30

 2016年9月に買収されたBeyondCoreは、クラウドベースのデータディスカバリおよび分析プラットフォームであり、ビッグデータの情報や統計的なサマリから、データの中にある相関性やパターンを機械学習を用いて自動的に導き出す。BeyondCoreは、データサイエンティストが立てた仮説からスタートするのではなく、ビジネスアナリストが分析対象とする指標(コスト、収益性、顧客の生涯価値など)を選択できるように設計されている。このエンジンはその後、特定の指標や指標の組み合わせを説明できる要因を特定し、説明してくれる。

 BeyondCoreの分析や説明は、自動的に生成された文章による「ストーリー」の形で提供され、「何が起きたのか」「なぜ起きたのか」「今後何が起きるのか」「どうすれば改善できるのか」という4つの質問に対する答えが示されている。最後の2つの質問に対する答えは、それぞれ予測的知見、処方的知見にあたるものだ。BeyondCoreのストーリーは、「Word」の文書や「PowerPoint」のプレゼンテーションとしてエクスポート可能で、裏付けとなるデータを可視化することもできる。

 BeyondCoreは、知見を得るためのデータ源として、人気のある主要なリレーショナルデータベースや「Hadoop」に接続できる。データセットがクラウドに読み込むには大きすぎる場合、BeyondCoreのエンジンは、大規模なデータセットの統計的サマリを作成して利用することも可能だ。BeyondCoreが買収された直後に、「Salesforce CRM」のデータを使用するためのデータコネクタが追加されたほか、「Salesforce Wave」 用のデータ出力機能が追加されたため、予測的知見や処方的知見をAnalytics Cloudにエクスポートできるようになっている。BeyondCoreの利用料金はユーザー数に基づいて決定されていたが、Salesforceの幹部の話によれば、この料金体系は今後も変わらず、今後は追加料金を支払って利用するAnalytics Cloud Einsteinのオプションとして提供されるという。

 BeyondCoreに対する筆者の個人的見解:BeyondCoreは強力なエンジンであり、これがAnalytics Cloudやその他のEinsteinの機能にとって重要な役割を演じることに違和感はない。このテクノロジの制約に関して言えば、このエンジンがどの程度の時間でビッグデータの統計的サマリを作成でき、分析結果の生成にどれくらい時間がかかるのかについて、もっと知りたいと考えている。聞いたところでは、このエンジンは100カラム規模のデータから複雑な相関関係やパターンを発見できるということだが、統計的に信頼できる結果を得るためには、少なくとも1万件以上のデータが必要になるという。つまり、自動的にスマートな判断を行うためには、かなり多くのデータが必要であり、各分野の顧客が1万以下の中小企業では、有効に利用できないかもしれない。

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