「Commerce Cloud Einstein」による製品のレコメンデーション
「Commerce Cloud」とリンクしているいくつかのEinsteinの機能は、すでに提供済みか、Demandwareで開発中であり、間もなく提供される予定だ。2016年6月に買収されたDemandwareは、顧客に対して、顧客自身や類似顧客の履歴に基づいて、最適な製品のレコメンデーションを自動的に提供する機械学習ベースの機能を持っていた。これはレコメンデーションエンジンであり、Commerce Cloud Einsteinの組み込み機能として、今すぐ利用できる。
オプションの「Predictive Email」サービス(追加料金が必要)でも同じレコメンデーション技術が使用されている。このサービスは個人に合わせたコンテンツや割引、製品などのレコメンデーションを提供できるというものだ。このサービスの利用料金はメールの宛先リストのサイズに応じて決定されるが、送信できるメッセージの数に上限はない。Demandwareはほかにも、Commerce Cloud Einsteinで提供予定の2つの機能に取り組んでいる。その1つである「Commerce Insights」は、マーチャンダイザー向けの市場バスケット分析ダッシュボードで、2016年末までに組み込み機能として提供される予定だ。また「Predictive Sort」は、個人に合わせた検索と並べ替えを行う機能で、オプション機能として、2017年第1四半期にリリースされる見込みとなっている。
Commerce Cloud Einsteinに対する筆者の個人的見解:この種のレコメンデーション技術は、かなり古くから存在する。この種の技術は、もはやEコマースでは必須の機能と言っていいが、顧客の行動データ、カタログデータ、オンライン及びオフラインの注文履歴などのデータに対して機械学習を用いることを考えれば、この機能がEinsteinの機能セットに含まれていることは適切だと言えるだろう。
「App Cloud Einstein」
App Cloud Einsteinではすでに、画像識別サービス「Predictive Vision」と感情分析サービス「Predictive Sentiment」が利用できるようになっている。これらのサービスは、2016年4月に買収されたMetaMindの技術に基づくものだ。MetaMindの元最高経営責任者(CEO)であり、現在はSalesforceのチーフサイエンティストを務めているRichard Socher博士は、Dreamforceでデモを行い、画像のドラッグアンドドロップだけで簡単に画像識別エンジンをトレーニングできることを示した。MetaMindの感情分析エンジンについては、トレーニングや実装が容易かどうかはあまりはっきりしなかったものの、明らかにビジネスユーザーが単純な自然言語によるやりとりで利用すること前提としている。
画像認識AIと感情認識AIに対する筆者の個人的見解:マーケティングでこの種の機能を利用するケースのデモは、よく見られるものだ(そして、これらやその他のサービスは、個人に合わせた速やかな顧客との相互作用を目的として、Marketing Cloud Einsteinで提供される予定となっている)。しかし筆者はむしろ、MetaMindの顧客であるvRad(Virtual Radiologic)の事例に感銘を受けた。この事例では、人の命を救うために、画像識別サービスを使用して、数秒間で何千枚もの脳の断層画像を調べ、医師が生命の危険がある頭蓋内出血の症例を発見し、優先順位を付ける作業を支援している。なんと素晴らしいことか!