AI組み込みとクラウド配分が特徴
Kenny氏によると、IBM Cloudは1億人を支えており、1.6ペタバイトのデータがあり、APIコールは1410億件に達しているという。「我々はデータを拡張性のある形で動かす方法を熟知している」とKenny氏は胸を貼る。拡張性以外のIBM Cloudの差別化として、次のようなポイントをあげた。
1)正しいワークロードを正しいクラウドに
2)データから価値を得る
3)データのために構築されたクラウド
1)は、どのオンプレミスのワークロードを継続して使い、どのワークロードをパブリッククラウドに移動するか、比率はどうするか、どのようにして拡張するかなどを考え、パブリッククラウドへの移行を進めると言うIBMのアプローチだ。
ここでKenny氏は2016年末の「AWS re:Invent 2016」でAWSが「snowmobile」を発表時にトラックが登場したことを暗に示しながら、「我々はトラックで乗り込んで全てのデータをIBMのクラウドに(移行させよ)というつもりはない。我々のクラウドを顧客のデータに近づけたい」とクラウド一色ではないアプローチの違いを見せた。
関連して、IBMはInterConnectで米Red Hatとの提携も発表している。IBMのプライベートクラウド上でRed Hat OpenStack Platform、Ceph Storageを利用でき(3月末に提供開始)、Red Hatは6月までにRed Hat Cloud AccesをIBM Cloud向けに提供、Red Hatの顧客は使っていないRed Hat Enterprise LinuxサブスクリプションをIBM Cloudデータセンターに動かすことができるというものだ。
2)については、Watson Data Platformからたくさんのツールを構築しており、必要な時に容易にWatsonのパワーを利用できるとする。上記のKubernetes対応などにより、マイクロサービスを使ってアプリケーションの構築を高速にし、AIで体験を改善できる、とKenny氏は述べた。
3)はこのところ進めてきたWatson Data PlatformとIBM Cloudのマージにより実現したもので、データサイエンティストのニーズを満たすという。Kenny氏は「他社は自社の検索エンジンやコマースでスタートしたクラウドビジネスだが、IBMのクラウドは顧客のデータが起点」と述べ、顧客が自社データをきちんと所有・管理し、そこから洞察を得られるのがIBMのクラウド、とした。
WatsonとIBM Cloudのマージを進めた。これはIBM Cloudの差別化となる。