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「2017年は日本でもブロックチェーンの実用例を見る年に」--テックビューロ - (page 3)

山田竜司 (編集部) 飯田樹

2017-04-27 07:00

 --御社は「実用ファースト」という考えを示しているが、その背景はニーズから製品や機能を説明する機会が多いからか。

 ブロックチェーン導入は”解決策”であるべきで、顧客の目先の問題を解決しなければならないと思っていますし、それがわれわれの強みでもあります。ちなみに、もう1つの強みは基幹システムに組み込みやすいことです。ブロックチェーンは既存のシステムとつながりにくい、親和性が低いとしている企業もありますが、われわれはマルチシグネチャを使っているため、他の認証システムからも簡単につなげられます。

 --実証実験も多く発表し、「実用段階」という文言も聞くが、なかなかその先の話が出てきていない状況だ。

 2017年は実際のサービスで使われるところが登場するでしょう。われわれは、3月1日に行政サービスでのブロックチェーンの検討・実証実験として、ベルギーのアントワープ市にmijinの技術を提供したことを発表しました。そのアントワープ市も、市としてデジタル行政を打ち出していますし、日本は遅くてもアジアやヨーロッパでは実用化が進んでいくと思います。

 また、IoTやAIでも需要は出てくると考えています。今、IoTのデータは中央集権型ですが、これも分散型になるでしょう。AIも同じで、現在はクラウド型のAIがほとんどですが、各AIによって仕事が変わってきた場合、一台一台に勘定の仕組みを持たせておけば、中央勘定は必要ありません。AIやIoTも非常にブロックチェーンと親和性が高く、いろいろな企業が実験をしています。


デバイスのコントロールが主である「IoT1.0」に対し、デバイス同士が通信する「IoT2.0」ではそれぞれの端末に勘定概念をもって仕事量分の対価が発生する時代になるという

 --nemとの関係やエコシステムの仕組みは。

 nemというパブリックなブロックチェーンと暗号通貨を作っているコミュニティとは、ビジョンを共有し、コア開発者全員にmijinの開発に入ってもらいました。われわれは投資するので、新型エンジンを弊社の著作物として作ろう。その代わりに、同じエンジンをnemのパブリックブロックチェーンで使う際には、無償で提供するというルールを作成したのです。同時に、プライベート型の商用製品としてはわれわれが独占で使うということも決めました。mijinは、nemと同じAPIと仕様で動いています。nemの人たちにとっては、mijinがうまくいくことが自分たちの取り組みの評価が上がることにつながるため、非常に美しいエコシステムができています。1年以上にわたって続いている理由は、ビジョンの共有と明確なルール設定、コンフリクトがないエコシステムを作ったことにあると思います。


事業体とオープンソースコミュニティを両立。 一つのリソースで2つのプロダクトをブラッシュアップしてている

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