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イノベーションを起こす「デジタル人類」

あなたの会社でイノベーションを起こす「デジタル人類」の正体 - (page 2)

林大介

2017-04-18 07:00

 確かに見方によっては仕事が失われているが、その分”空き時間が生まれた”のも事実だ。その時間に別の仕事をすることで、人類全体では生産性を高めているともいえる。ただし一方で、ただ何もしなければミクロのレベル、つまり個人レベルでは職は失われていくように感じるかも知れない。機械にはできない、人間らしい仕事を常に探す努力は今後も必要になるだろう。

 結局のところ、どんなに技術が発展したとしてもその恩恵を受けるのはわれわれ人間であり、イノベーションは人間を基軸に考えていくことは変わらない。

 例えば、自動運転の技術を「人や物にぶつからないように安全に走行する技術」と捉えるか、「人手による配達や輸送の手間を削減する技術」と捉えるかで成果は異なる。

 なぜなら、前者のゴールはひとつ(自動で走行する車を作ること)であるが、後者のゴールはそれに限らない。昨今話題になっている運輸会社の過剰労働問題だが、ECのニーズが今後陰るわけもなく、荷物の総量は今後も増えていくだろう。

 配達や輸送の手間は確かに自動運転の技術で減るかも知れないが、そもそもの「再配達」という根深い問題を解決できるのかが論点である 。自動運転の技術に頼らずとも例えば、送料を個人別にし、再配達の度に少しずつ送料が上昇していくような仕組みはどうだろう。

 自動車保険のように、配達しても家にいない「事故」が多い人がコストを負担する仕組みである。これであれば既存の仕組みを応用するだけで良いのではないか。こんな極端な案ではダメかも知れないが、人を基点に考えていれば他にもたくさんのゴールが見えてくるはずだ(図1)。


図1

 「あらゆるイノベーションは、人の行動をどう変えるか(どう変わるか)が見極められた時に発生している」と筆者は考える。ただ、それは表面的な変化に過ぎず、人の本質的な部分は古来よりほとんど不変である。

 欲に忠実であり、制約を嫌い、情動を重視し、承認欲求があり、行動を決める基準は時に単純だ。そして、人類全体で見てみると、短期的には保守的で常識を破らないが、長期的には進歩的で、あらゆる常識を破壊しながらこれまで発展してきている。

 日本発でグローバルでも注目を浴びているサービスと言えば「メルカリ」が挙げられるが、このサービスは個人同士の売買に関する制約を極限まで減らすことで支持を集め、いまや既存の個人オークション事業を脅かす存在になっている。

 承認欲求がなければSNSは生まれなかっただろうし、情動を重視するからこそプロジェクションマッピングに人が集まるのである。このように、人間の本質を見極めて、行動を変化させた企業がイノベーションによる大きな利益を手にしている。こういった試みの背景には”デジタル人類”が活躍しており、彼らにとっては人に着目してイノベーションを起こすのは必然の流れである。

 

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