座談会@ZDNet

クラウドに移行しないと「起きてしまう」こと--クラウドベンダー座談会(2) - (page 2)

吉澤亨史 怒賀新也 (編集部)

2017-04-28 07:30

竹爪氏 もし企業のリソースが無限であったら、クラウドは不要かもしれません。有限だからリソースを割り振らなければならないという話になるのです。クラウドにはIaaS、PaaS、SaaSといったいくつかのレイヤがあります。

日本オラクル株式会社の竹爪慎治氏
日本オラクル株式会社の竹爪慎治氏

 その中で、例えばIaaSはインフラのコスト削減に向いているといえます。PaaSはアプリケーションの開発に響いてくるので、競争に勝つためにアプリケーションの差別化に焦点を当てるお客様に向いています。

 林さんから、スピードと意思決定というお話がありましたが、ここにフォーカスするのであればSaaSまでレイヤを上げて、その下のレイヤは全部インフラとしてお任せして、経営としての意思決定や戦略のアジリティを出す際に向いています。そう考えると、クラウドを使わないときのデメリットは、リソースは無限ではありませんから、それだけ無駄が多くなってくるということですね。そのレベルについては、企業の状況や体力でまるで変わってくると思いますが。

作戦が減る

吉田氏 単純な言い方をすれば、クラウドを使わないと作戦、アプローチの種類が減ります。従来であればシステムを買ってくる、自分で作る、あるいは誰かにお願いして作ってもらう。これは、お客様も時間やコスト、効果などを想像しやすい。でもクラウドの場合は、「こういうことがやりたい」という、ふわっとしたところから投げてもらうのが私たちは嬉しいんです。

日本マイクロソフトの吉田雄哉氏
日本マイクロソフトの吉田雄哉氏

 サービスの数はたくさんあるので、実現するた方法もたくさん提案できます。たとえば、インフラのリソースを獲得する部分にクラウドの良さを生かしてIaaSを使って、それ以外は従来のアプローチを残すという提案もできます。

 また、自分たちで開発の体制を持っていたり、IoTや分析も含めてなんらかの機能をパーツとして欲しいなど、使いたいものだけを使う、うまく組み合わせていくだけという使い方もできます。あとは、マイクロソフトでは独立系ソフトウェアベンダー(ISV)と呼びますが、いわゆるSaaSですね。ベンダーとのパートナーシップでソリューションを提供しつつ、同じAzure上に乗っていますので、別のものを乗せてもっと効果的に使います。

 アプローチだけでもデプロイメントのモデルを含めて、マイクロソフトや多くのベンダーから提供されていますので、その数だけアプローチが図れます。アプローチによって結果も変わってきますし、コストや期間、効果、その後の維持も変わります。クラウドは勝手に機能が増えていくものです。使わない間は変わらないし、むしろ少し安くなるぐらいの状況ですが、機能はどんどん増えていきます。それはオンプレミスでは決して起きない状況です。朝起きたらサーバが2個に増えていたとか、ちょっと怖いですよね。

 でも、クラウドにはそれがあるのです。いつの間にかソフトウェアが増えていたりします。それは取れる作戦が増えることでもあり、体感すればより分かっていただけるものです。一度クラウドの方に踏み込めば「やろうと思っていたこと」が増えていって、加速度的に使う範囲が増えます。つまり、使わないとどうなるのかよりも、クラウドは使ってみないと良さを実感できないということなのですね。

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