なぜオラクルはアプリケーションを全面的に書き直したのか--製品開発トップのクリアン氏

末岡洋子 2017年05月09日 07時00分

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 Oracleの製品開発担当プレジデントのThomas Kurian氏にとって、統合基幹業務システム(ERP)をはじめとするアプリケーションはOracleでの20年以上のキャリアでも、特別の思いがある製品分野だ。というのも、Kurian氏こそ、Oracleに急成長をもたらしているクラウドアプリケーションの開発を統括した人物であり、Oracleのクラウドカンパニーへの転身に大きく寄与しているからである。

 そのKurian氏が4月半ば、米ボストンで開催された年次イベント「Modern Finance Experience」と「HCM World」 のジョイント基調講演に登壇し、クラウドアプリケーション戦略について語った。

Thomas Kurian氏
Thomas Kurian氏

 業務アプリケーションにおけるOracleの製品ポートフォリオを構成するのは、主にJ.D. EdwardsやPeopleSoftなど買収によって取り込んだ製品群だ。Oracleは11年前、このアプリケーション群を全て書き直すという大胆な意思決定をする。当時を振り返りながら、Kurian氏は次のように説明する。「ユーザーがどのように我々の技術を使っているのかを見たとき、複雑性が邪魔をしてやりたいジョブを行えていないことがわかった」とKurian氏。

 例えば会計・財務部門、自社のパフォーマンスについての情報を提供することが本来の任務だが、データセンターを用意し、年単位のプロジェクトを組んでソフトウェアをインストールして設定、その後もパッチを当てる、モニタリングする、セキュリティ対策を講じるなどの作業が継続的に生じ、最新の機能を含むバージョンが出てもカスタマイズをしている場合はアップグレードは容易にできない。

 「どうやってシンプルにできるかを考えた。我々の技術やアプリケーションに、世界のどこからでも、あらゆる人がアクセスできるようにするにあたって、(エンドユーザーに)必要なのはブラウザだけだ」とKurian氏。しばらくして、全てのアプリケーションソフトウェアポートフォリオを土台から作り変えることにした。

共通の土台を持つOracleのSaaS製品
共通の土台を持つOracleのSaaS製品

 決断当時、モジュールの数は375種類あったという。「60億ドルを投じて最初から書き直した」とKurian氏。その結果、会計、予算管理、プロジェクト管理、購買、人事管理、カスタマーエクスペリエンスなど様々な領域を網羅し、オンプレミスとクラウドと同じコードを持つものを開発、2011年に「Fusion Applications」としてオンプレミス版を、2年後には「ERP Cloud」の提供を開始した。「Oracleがデータセンターを立ち上げ、ソフトウェアを設定し、アップグレードし、必要な機能を配信する。顧客は重要な作業にフォーカスできる」とKurian氏は顧客のメリットを語る。

 例えば会計では、それぞれの事業部が利用する各業務アプリケーションに財務計画をオペレーションプランとして”マッピング”し、毎日実際の財務データと対比させることができる。社内向けには経営陣向けのレポートを、社外には財務レポートとして簡単に作成できる。「1つのシステムなので、正確なリアルタイムのビューを得られる」とKurian氏。プランニングとレポートを連携でき、決算も高速化できる。「財務計画と予算管理をトランスフォームする。一年に一度の決算が、日常になる」(Kurian氏)。

 ERP では「台帳を一から考え直した」とKurian氏、これまでは取引を記録する総勘定元帳だったが、分析のための信頼できる情報源に役割を変える必要があるという。この役割の変化を設計段階から盛り込むことで、「トランザクション(取引)システムから、トランザクションと分析のためのシステム」として利用できるという。

 Kurian氏は次に、OracleのERPを利用してビジネスプロセスを最適化した事例として、IKEAを紹介した。IKEAはOracle ERPのうち購買管理の「Oracle Procurement Cloud」を導入し、契約を一元管理することにしたという。

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