Microsoftの年次イベント「Build 2017」では、企業のIT担当者が考慮すべき多くのテーマが取り上げられた。
このイベントで、何が明らかになったのだろうか。ここでは、Buildで浮かび上がってきた6つのテーマを振り返る。
Microsoftは、「Windows」をAppleの「iPhone」や「Android」、モノのインターネット(IoT)などと結びつけることによって、その競争力を維持することを目指している。同社の最高経営責任者(CEO)Satya Nadella氏は、アナリストに対するブリーフィングの冒頭のあいさつで、一度もスマートフォンに言及しなかった。ただしNadella氏は、モビリティについては何度も言及している。
同氏の見方はこうだ。
今後重要なのがマルチデバイス体験であるとすれば、論理的に言って、次に重要になるのはデータであり、その体験を豊かにしているAIは、分散化が進んでいる。実際、このことは誰の目にも明らかだろう。例えば、クラウドでGPUなどを使ってトレーニングを行って、そのモデルをエッジに導入し、人や、場所や、ものを認識できるようなっており、これに普通のカメラまでが利用できるという例が出てきている。
あるスライドでは、モバイルやクラウドファーストが次のように説明されていた。
この中にスマートフォンを見つけるには、よく目を凝らす必要がある。
「Windows 10」を搭載する端末は5億人を突破しているが、当面の間はWindowsの話題が議論になり続けるだろう。市場の状況や利用法が変わっていくにつれて、今後もMicrosoftは、中核製品であるWindowsを手直ししていく可能性がある。つまり、今後Windowsは、単なるOS以上のものに変化していくかもしれない。
Microsoftの「Azure Cosmos DB」は、企業が検討する価値がある製品である。世界中に分散しているマルチモデルデータベースサービスであるAzure Cosmos DBには、高い可用性を保証するSLAが設定されている。大企業はこのSLAを歓迎するだろうが、Cosmos DBがOracleの脅威となり得る製品かどうかはまだ見通せない。Azure Cosmos DBは、Oracleを手こずらせている「Amazon Web Services」(AWS)の豊富なデータベースのラインアップとも、互角に戦える可能性がある。いずれにせよ、大企業はSLA付きのデータベースを好意的に見る可能性が高い。