トマス・ジェファーソン大学のJefferson Health病院において「IBM Watson」の活躍の場が広がろうとしている。これによりこの病院の患者らはまもなく、患者固有の治療や診断に関して人工知能(AI)に質問を投げかけられるようになるはずだ。
同大学の最高デジタル責任者(CDO)であり、テクノロジとイノベーション、コンシューマーエクスペリエンス担当のシニアバイスプレジデントでもあるNeil Gomes氏は、5月半ばに開催されたSAPの年次カンファレンス「SAPPHIRE NOW」で、Watsonを活用することで病室内の患者のエクスペリエンスを向上させるとともに、同組織に価値をもたらす計画について語った。
Gomes氏は「認知機能を活用した患者向けコンシェルジュを部屋に配して質問(現時点では診療に関する質問は除外されているが、近々そういったものにも対応していく予定だ)に答えられるようにすることは、患者にとって、そして院内の患者すべてに対する実際の医療行為に時間を割きたいと考えている看護師や他の臨床医にとって、大きな価値があると考えた」と説明した。
「患者はこのコンセプトを好んでいる(中略)現在では院内の約40の病室に展開している」(Gomes氏)
ペンシルバニア州フィラデルフィアに拠点を置く同大学はまず、同病院の患者に対して個人に特化した「より深いレベルのケア」をもたらすために、2016年10月にIBMと提携し、「IBM Watson Internet of Things(IoT)」による認知機能を活用した病室を用意すると発表した。
この提携の一環として同病院は複数の病室にスピーカを配し、室内の患者に基本的な情報を提供するだけでなく、患者自身が周囲の環境をより快適なものに制御できるようにした。
Gomes氏は「われわれが機械学習を好んでいるのは、それがわれわれの知り得ている最も自然なコミュニケーション方法であるためだ。そのことは何年も前から『スタートレック』(米国のSFテレビドラマ/映画)が教えてくれている。このためわれわれは、IoTでさえも統合し、音声を用いてコミュニケーションするのが将来のあり方だと考えている」と説明した。
AIはさまざまな分野で必要となってきており、Gomes氏はテクノロジ分野における初期の進歩のいくつかは、大学のキャンパスで、また医療研究機関において成し遂げられているとコメントした。
Gomes氏は、AIをベースにするという方向性について、同大学が推進するデジタルイノベーションにおけるコンシューマー指向の結果だと確信している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。