日本マイクロソフトは6月1日、デジタルフォレンジクス(電子的な捜査や鑑識、調査作業の総称)を手掛けるフォーカスシステムズと共同実施した証拠データ解析の高速処理化の検証で、大幅な期間短縮効果を確認したと発表した。分析時間を従来の3日から半日程度に短縮できるとしている。
サイバー犯罪捜査におけるデジタルフォレンジクスでは、犯罪への関与が疑われるコンピュータ機器などに残された証拠となり得る膨大なデータを解析する際に、事前に下処理としてデータカービングやインデックス、圧縮ファイルの展開、ハッシュ計算などが必要になる。一般的なケースでは、1Tバイトのデータの下処理作業に3日ほどかかるという。
2月1日から3月24日にかけて両社が行った実証試験では、フォーカスシステムズの分散処理技術とMicrosoft Azureを使って処理の高速化を検証。検証システムは、AzureのAシリーズによる認証用サーバやデータベースサーバ、ファイルサーバ、下処理作業を分散させるエンジン用サーバで構成した。
試験は、エンジン用サーバ1台の単独処理と同3台、同4台による分散処理の計3ケースで行い、CPUコア数に比例してデータ処理作業が高速化できることを確認した。4台による分散処理のケースで、分析時間が従来の3日から約半日に短縮される。サーバ台数をより増やした分散処理では、さらなる期間短縮が可能だとしている。
両社は、実証結果を基にした「サイフォクラウド」サービスの提供を同日から警察機関向けに始めた。サイバー犯罪が増加する一方で、警察機関ではリソースの制約が課題になっているといい、データ処理の高速化で捜査に要する期間の短縮や担当者の負荷軽減といった効果が期待されるという。