本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、Dropbox Japanの五十嵐光喜 代表取締役社長と、米GartnerのAlexander Lindenリサーチバイスプレジデントの発言を紹介する。
「ITコンシューマライゼーションの流れがクラウドサービスにも来ている」
(Dropbox Japan 五十嵐光喜 代表取締役社長)
Dropbox Japanの五十嵐光喜 代表取締役社長
米Dropboxの日本法人であるDropbox Japanが先頃、今後の事業戦略について記者説明会を開いた。五十嵐氏の冒頭の発言はその会見で、IT市場の新しい流れが同社の事業展開に追い風となっていることを述べたものである。
Dropboxは、インターネット上に文書などを保存・共有するクラウドサービスを個人および法人向けに提供しているクラウドストレージサービスベンダーである。
巨大なファイルを手軽に高速で共有できることからサービス利用が広がり、2007年の創業以来10年で、世界での登録ユーザー数は5億人を超え、法人向けサービス「Dropbox Business」は20万社が利用し、Fortune500の52%が導入。また、SaaSベンダーとして最速で年間売上高10億ドルを達成したとしている。
その日本法人の社長に2017年1月に就任した五十嵐氏が会見を行うのは、これが初めて。会見では、米国本社の最高技術責任者(CTO)を務めるAditya Agarwal(アディティア・アガーワル)氏からDropbox Japan新社長として紹介された。
五十嵐氏はDropboxの事業および日本法人の社長就任について、「Dropboxは情報共有と協働のプラットフォームを提供することで、職場内のコラボレーションを促し、利益を生まない間接業務の削減に役立つユニークなサービスだ。事業拡大の重要な時期にDropbox Japanを率いることになり、大変光栄に思う」と語った。
米Dropbox CTOのAditya Agarwal氏(左)と五十嵐氏
さらに、Dropbox Japanの今後の事業戦略におけるキーワードとして、「ITコンシューマライゼーション」と「働き方改革」を挙げ、次のように説明した。
「IT市場では今、コンシューマライゼーションの流れがハードウェアからソフトウェア、そしてクラウドサービスにも来ている。その流れの中で、既に個人向けサービスで確固たる実績を上げているDropboxは非常に面白いポジションに居る。また、日本では今、働き方改革への対応が急務となっている。この日本ならではの2つの流れに、Dropboxは大いに貢献できると考えている」