静岡県の富士市は、OpenStackの商用ディストリビューション「Red Hat OpenStack Platform」を搭載する垂直統合型システム製品「Cloud Platform for IaaS」を導入した。災害時の業務継続と効率的な行政運営が目的という。
NECが6月29日に発表した。Red Hat OpenStack Platformとソフトウェアで制御する統合ストレージ基盤「Red Hat Ceph Storage」を採用したレディメイド型を導入した。事前に設計、検証済みの構成で統合化しており、今回、機器納入から初期セットアップまで1週間で導入した。今回の導入は、OpenStackを公共分野の本番環境に利用する例として先進的なものと説明する。
同市はこれまで、外部に位置するデータセンター内に基幹システムを保有し、市職員はシンクライアントを活用して業務を進めてきた。
だが、災害発生時で回線の切断など、復旧に時間を要する事態やその他不測の事態の際、市庁舎から住民情報にアクセスできなくなるリスクも抱えていた。また、仮想化を活用して既存のサーバ上に実行環境を構築するなどしてきたが、全体像の把握が次第に困難になり、効率的な業務推進の上での一つの障害となりつつあった。
今回の導入で、増設や拡張などリソースの柔軟な追加や全体把握が容易になったとしている。
Cloud Platform for IaaSの活用イメージ(NEC提供)
Cloud Platform for IaaSは、将来増強する際にも稼働中の仮想マシン(VM)を停止することなく、ノードを追加して仮想環境の拡張(スケールアウト)が可能となる。また、基盤上で複数稼働しているシステムやネットワークセグメントに対する端末からのアクセス可否状況などをダッシュボード上で一覧表示できるため、管理負担も軽減できる。
柔軟なリソース再配分が可能になることで、災害発生時にも被災状況や負荷状況にあわせた業務継続が可能となる。さらに、オープンスタンダードに対応した製品のため、オープンソースのコミュニティー活動やクラウド基盤構築のノウハウを生かしたNECのサポートを受けることができる。