Appleの成功事例にならったNutanixの次なる戦略
Nutanixは今後、このEnterprise Cloud OSを前面に押し出していく構えだ。ちなみに「エンタープライズクラウド」という言葉は、先にも触れたように、「ハイブリッドやマルチクラウド、さらにはIoTにも対応した企業の新たなIT環境」と解釈できよう。そして同社は、そのエンタープライズクラウドの「プラットフォーマー」を目指しているのである。
これについて、Nair氏は図1を示しながら次のように説明した。
Nutanixが強く意識する「Appleの成功の変遷」
「Appleはかつて個別に存在していた電話機やカメラ、携帯オーディオなどの“コンポーネント”をiPhoneという1つの“プロダクト”に集約して成功を収めた。さらに同社はそれにとどまらず、iPhoneを通じてさまざまなサービスを利用できるようにした“プラットフォーム”を展開し、一層大きな成功を収めている。私たちもAppleと同様の戦略を描いている」
すなわち、NutanixにとってはHCI製品がiPhoneであり、エンタープライズクラウドプラットフォームをAppleが手掛けるサービスプラットフォームのように広げていきたいというわけだ。シンプルで分かりやすい話である。
果たして、Nutanixはエンタープライズクラウドプラットフォーマーになれるか。競合他社も虎視眈々(たんたん)と狙う市場だけに、創業して8年のベンチャー企業の技術がデファクトスタンダードになっていくのは厳しい道のりのように思えるが、イノベーションはシンプルで分かりやすいときこそ、インパクトが大きいものだ。筆者はNutanixの技術にその予感を感じる。
ただ、一方で大手に買収される可能性もありそうだ。とりわけ、オンプレミス環境との連携を強化したいネイティブなクラウドベンダーにとっては、大いに魅力的なのではないか。そんなスリリングなNutanixに今後も注目しておきたい。