事業会社で取り組むデータ分析の実際

データ分析部門がサイロ化された組織の媒介になる--LINE Fukuoka - (page 2)

伊藤徹郎

2017-07-28 07:00

--組織を立ち上げられたばかりということですが、何か苦労された点や課題はありますか。

 これまで前例のないグロースハックプロジェクトが組織立ち上げ後すぐに始まったため、グロースハックプロジェクト自体が手探りで始まったこともそうですが、最初の数カ月はデータ分析チームとサービス側との連携が今ひとつ噛み合わない、という課題がありました。

 今振り返ると双方の持っている情報や、担当者によってどのKPIに注力するか、各自のベクトルの向きに差があったと思っています。

 一般的にも言えることだと思いますが、サービスやマーケティング、コンテンツなど、担当領域の専業化が進むほど情報はサイロ化が進む傾向にあり、各自で個別の目標値も持っています。

 理想としては全員が全体の動きを把握した上で動くことですが、各自本来の業務もありますし、隣の領域の情報はアクセス権限上も制約がかかる場合もあり、分業すると局所的な最適化に向かうのは自然な流れだと思っています。


 つまり、そのギャップを埋める役割としても、データ分析チームの価値が出てくると思っています。実際、グロースハックプロジェクトでは分析結果の共有や議論を重ねる中で、徐々に各自の共通認識とベクトルの向きがそろいつつあります。現在では、各自の動きが全体最適化に向けて噛み合ってきた印象があります。

 分析チームはデータのプロ、サービスのチームはビジネスのプロと、それぞれプロフェッショナルな領域があるので、最初から分析チームがビジネス全体を理解していたわけではありません。グロースハックプロジェクトを数カ月かけて進めていく中でお互いに理解していった感じです。

 分析チームの立ち上げも、サービスエンジニア出身の立石が組織化しようと言い出したことがきっかけだったり、私も前職で他社サービスの分析をしていた背景があるので、ある程度有利だったと思います。

--東京のチームとやり取りされているとは、具体的にどのようにしているのですか。

 われわれが分析するサービスのデータプランナーがいるのですが、そのメンバーと毎日テレビ会議で話しています。また、福岡のメンバーも月に一度東京へ出張していて、進捗などを対面で報告・確認し合っています。

--テレビ会議に加えて東京出張もひんぱんなのはなぜですか。

 東京や韓国、台湾など、国内外の拠点と連携するので、遠隔でのやり取りは避けて通れません。テレビ会議は時間も限られていてなかなか議事以外の話題を切り出せないこともあり、距離感が難しい。

 LINEやテレビ会議、電話もそうですが、それは直接話せないときの物理的な距離を縮める手段で、リアルなコミュニケーションや信頼関係がある方が”距離”は縮まりやすいと思います。そこで、定期的に東京へ出向き、そうしたメンバー間のコミュニケーションをとるようにしています。

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