IT部門は40代以上、SIer/IT子会社は30代前後が中心
2017年現在におけるIT部門は40代以上、SIer/IT子会社は30代前後が中心だ。これが8年後の2025年には、IT部門では50代以上、SIer/IT子会社では40代前後まで平均年齢が上がってしまう。次の図2では、IT部門側の親会社や情報システム子会社を含めた要員構成の例である。
図2:2017年と2025年における親会社/情報システム子会社の要員構成(例)、出典:dss(2017年8月)
2017年現在もそうだが、国内では新卒/中途採用者のIT離れ(SE離れ)が8年後も続いている。そもそも若い世代が少ない点に変わりはないからだ。しかしながら、60歳以上の再雇用者が親会社/情報システム子会社に入り乱れることになると予想される。
現在の50歳代(昭和32年~41年生まれ)の情報システム部門で、比較的在籍が長く、経験豊富な人材の再雇用のピークが2025年に到来すると予測される。人材に関して、人数的には多いものの、実際に手足を動かせる若手が少ない点を考慮しなければならない。
図3:2025年「IT要員が大量に余り」その反面「できる人材が不足」、出典:dss(2017年8月)
図3では、2025年にIT要員が大量に余り、「できる人材」が不足する様子を説明している。これまでのIT案件の発注は、RFP(提案依頼書)から見積り、選定、注文などのステップを経るが、2025年にはクラウドの発注が一般的になり、APIの仕様を公開して、ウェブベースでのシステムの発注が主流になる。
これまでのようなRFPや選定(人月換算)というステップが無くなる代わりに、均一なサービスにシュリンクされ、IT要員がリスクを受け入れる割合が増えるだろう。結果として、スケジュールや障害を重視した「人月換算」ではなく、採算を重視した「金額換算」での発注行為が始まっていくとみられる。
2025年における「できる人材」とは、従来のIT部門の「予算」という聖域(いかに着実な計画をたて、確実に支払うか)をあまり意識せず、「ある予算で発注しますが、不足している場合は、申請部門に予算をいただきます」という、社内営業を前提とする。
すなわち、「まずは形にして、動かしてから、どのような改善がそもそも必要か?」というDevOpsに近い、悪く言えば「割り切り型」のIT部門だが、良く言えば「採算重視」のIT部門に変わる必要がある。