川崎重工のPaaSによる運用基盤--「ビジネスモデル変革」に必須システム - (page 3)

大西高弘 (NO BUDGET)

2017-08-21 07:30

変わりゆく製造業のビジネスモデルへの対応にも役立つPaaS

 AIやIoTのビジネス活用は、社内の生産設備の高度化だけでなく、さらに進んで製造業のビジネスモデルを変えていくと言われている。製品そのものを売るのではなく、製品に関するサービスを売るという手法だ。

 例えば、自動車や飛行機という最終製品だけでなく、エンジンやプラント設備の一部などをユーザーにリースまたはレンタルの形で貸し出し、最適な状態で利用できるよう、センサ情報などを用いて管理するサービスを提供する。

 その場合、いかにデータを迅速に活用して不具合を予見したり、ユーザーが不都合を感じる前にアップデートするかが、サービスの質を決定する。

 「スマートファクトリー」の場合も、ユーザーが施設そのものを買い取るモデルもあるが、ユーザーは施設全体を借り受け、管理は貸し出す側が担当するといったモデルも考えられる。また、施設自体はユーザーが所有するが、高度にIT化された施設の管理は専門企業が担当するというケースもあるだろう。

 そうした新しいビジネス手法の波が到来しようとする中、川崎重工業が構築したPaaSによるPLM運用基盤は、大きな意味を持つ。

 柔軟で多様なカスタマイズ要求に迅速に対応できる、ほとんどすべての個別案件を社内で対処できるPLM運用基盤を構築できたことは、各カンパニーが今後、AIやIoTを活用した生産活動に取り組んでいく上で、大きなアドバンテージを獲得できたといえないだろうか。

 三島氏も、AIやIoTを活用した新事業は、おそらく先行者が大きな利益を獲得するはずだとしている。新事業では、顧客システムとの連携などが求められるため、現在の社内向けの基盤とは別のPLM運用基盤が構築されることになりそうだが、数千人規模のユーザーが問題なく利用できるPaaSによるPLM運用基盤を運用している実績は大きいと言える。

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