そもそもの始まりは、GE Venturesが社内でウェアラブルテクノロジと、Upskillの産業用スマートグラス向けARソフトウェアプラットフォームである「Skylight」を活用するアイデアを求めるコンペを開催したことにある。そのコンペの一環として、オハイオ州シンシナティに拠点を置くRobertson氏とそのチームは、工場での作業にGoogle Glassを導入するという計画を発案したのだ。なお、Upskillは2010年からARデバイス用の企業向けソフトウェアを開発しており、GE VenturesはUpskillに投資している企業のうちの1つだ。
Robertson氏は「われわれのアイデアは、エンジンの組み立てに携わっているGEの整備士のもとにこのテクノロジをもたらす」というものであり、「われわれは世界各地の複数の施設でエンジン組み立て作業を実施しており、ここで新たに指摘したい点は、数多くの整備ミスが発生しているということだ」と説明している。
UpskillはGEの要請を受け、該当プロセスにワイヤレストルクレンチを組み込んだ。これにより、飛行機のエンジンを手がけるGEの整備士らは、すべてのねじやボルトを設計通りの正しいトルクで締めつけられるようになった。また、Google Glassを利用することで、立ち上がってリファレンスマニュアルをチェックせずとも適切な設計指示を参照できるようにもなった。
GEは当初、シンシナティで働く整備士15人に新システムを試用させた。同社はまず、Google Glassを使わずに特定の作業を行わせ、所用時間と、作業ミスの発生割合に関するデータを収集した。その後、昼食をはさんでから、Google Glassを着用した状態で同じ作業を行わせた。
Google Glassの着用によって、GEは組み立て作業の主なポイントでのミスを低減できた。これは、同テクノロジによってGEとその顧客が膨大なコストを削減できるということを意味している。また、整備効率が8〜12%向上したことも確認された。さらに、整備士らはGoogle Glassを着用した作業形態を好んだという。
Robertson氏によると「最終的に、すべての整備士からとてもポジティブな評価を得た。彼らの大多数は、数時間使用しただけで、現在使っているものよりもこちらを選択すると述べた」という。
Robertson氏と同氏のチームは現在、このテクノロジの正式な配備に向け、試用結果の最終レポートをまとめているところだ。