Microsoftは数百万ドルを投じて、デンマークのコペンハーゲン大学に、量子コンピューティングの新たな研究開発拠点を設置している。
Microsoftは同大学と、汎用量子コンピュータの共同開発に関する複数年契約を結んでいる。同社のスタッフは、コペンハーゲン大学のニールス・ボーア研究所と協力して研究を進める。
スケーラブルな量子コンピュータを生み出す取り組みを加速するため、Microsoftが2016年に雇った4人の科学者の1人であるCharles Marcus教授が、ニールス・ボーア研究所のCenter for Quantum Devices(QDeV)のディレクターを務めており、このパートナーシップによって、同大学は米国に本拠を置くMicrosoftの量子コンピューティング研究所「Station Q」の北欧拠点となる。Station Qはこのほかに、シドニー大学、パデュー大学、デルフト工科大学にも拠点を持っている。
量子コンピュータのビット(量子ビットと呼ばれる)には、トランジスタのオンとオフの状態を使って1と0を表す従来の方法の代わりに、オンとオフの状態を同時に持つことができる。この性質は、極めて強力なコンピュータを生み出す可能性を秘めている。
Microsoftは、安定した量子ビットを生み出すには、トポロジカル量子コンピューティングが鍵を握っていると考えている。トポロジ(形あるいは空間に関する数学の一分野、位相幾何学とも呼ばれる)は、量子コンピューティングの研究者の間で注目を集めつつある。
Natureに掲載された記事でも説明されている通り、Microsoftのアプローチでは、物質内部の相互作用から生まれる「非アーベル型エニオン」と呼ばれる準粒子に、量子ビットをエンコードすることを目指しているという。同社は非アーベル型エニオンの位相幾何学的性質を用いることで、より安定した量子ビットを作れると考えており、これを使って汎用量子コンピュータを生み出そうとしている。
コペンハーゲン大学によれば、Microsoftは現在10人以上のスタッフをこの拠点に配置しており、トポロジカル量子コンピュータの開発に向けて作業が進む中で、チームの規模は大きくなる見込みだという。
この数百万ドル規模の投資に加え、Microsoftは同大学での「大規模な」量子研究への出資に同意した。
Microsoftの Microsoft AI and Research Groupの最高執行責任者(COO)David Pritchard氏は、「コペンハーゲン大学には、Microsoftと同大学の間の共通ビジョン、トップクラスの量子研究者の優秀なチーム、幅広く優秀な博士研究員と学生の人材プール、および量子研究のための施設や機器の基盤といった、生産的な量子研究を進めるための重要な柱がすでに存在している」と述べている。
米国を本拠を置くMicrosoftの量子コンピューティング研究所「Station Q」が北欧に拠点を開設し、同社が2016年に雇った4人の科学者の1人である、Chales Marcus教授を責任者として着任させる。
提供:コペンハーゲン大学
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。