VM専用ストレージのTintriが語る“エンタープライズクラウド”の効用 - (page 2)

日川佳三 2017年10月05日 15時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 もう1つの理由は「VMごとの自動QoS機能の有無」(Harty氏)である。Tintriならさまざまなアプリケーションが混在した環境で、個々のアプリケーションごとにQoSを制御できる。

 NutanixのHCIを当初導入したShireでは、「単一のアプリケーションで検証した際には良い性能が出ていたが、実際にデータセンターに持っていったら性能が出なかった」(Harty氏)

オンプレソフトのIaaS移行は高くつく

 Tintriのストレージは、オンプレミスや自社データセンターにおいて“エンタープライズクラウド”(一般的にはプライベートクラウド)を構築するためのストレージである。業務アプリケーションを利用する業務部門に対して仮想のストレージを提供できる。クラウド事業者にとっても、ユーザー企業にクラウドサービスを提供する基盤として利用できる。

 Harty氏は、オンプレミスにエンタープライズクラウドが必要になる理由として「ユーザー企業が使うすべてのアプリケーションをパブリッククラウドに移行できるわけではない」と指摘する。

 エンタープライズクラウドが必要な理由の1つは、信頼性である。アプリケーション側で信頼性を確保していない場合、このアプリケーションはパブリッククラウドに移すのは難しいという。

 「多くのアプリケーションは、アプリケーション側で信頼性を確保しておらず、ハードウェアなどのインフラに信頼性を委託している。こうしたアプリケーションをクラウドに移すと、障害発生時に可用性を確保できない」(Harty氏)

 エンタープライズクラウドが必要なもう1つの理由は、パブリッククラウドに置くことでメリットが出るアプリケーションがそもそも限られるというものである。

 「(動画ストリーミングサービスの)Netflixなどのように変更が激しいアプリケーションがパブリッククラウドに向く。パブリッククラウドなら、ユーザー数の増加にすぐに対応するといった需要に応えられる」(Harty氏)

 この一方、会計アプリケーションなどのように負荷が一定で更新頻度も少ない領域では、オンプレミスのソフトウェアをIaaSに移行すると、高く付いてしまう。「すでに会計ソフトを稼動させているなら、IaaSに移さずに現状維持した方が安上がりだ」(Harty氏)。「NetSuite」のようなSaaSなら運用管理を委託できるのでクラウドサービスを使うメリットがある。

ハイパーバイザとコンテナは補完関係

 Tintriのストレージはハイパーバイザによる仮想マシン向けのストレージだが、ハイパーバイザと競合する存在に「Docker」などのコンテナ技術がある。コンテナについて、Harty氏は「ハイパーバイザとコンテナは、ともにメリットがあり、補完関係にある。用途に合わせて使い分ければいい」と説明する。

 コンテナのメリットは、処理負荷のオーバーヘッドが少ないことや複数のコンテナをセットにしたシステム一式を瞬時に簡単に配備できることなどである。アプリケーションの開発環境やテスト環境を迅速に調達するといった用途では利便性がある。

 ただし、コンテナにはハイパーバイザと比べてデメリットもあるとHarty氏は言う。例えば、コンテナの基盤であるOSが障害で停止するとコンテナも停止してしまうし、基盤となるOSにセキュリティの問題が発生した場合はコンテナにも影響が及んでしまうといった具合である。

 システム基盤としては、コンテナと並んで「OpenStack」も著名である。しかし、「OpenStackは複雑さが原因でサポート費用が高く付く。複雑さが解決されない限り、一般企業が使うのは難しい」とHarty氏は指摘する。「開発環境なら、OpenStackとハイパーバイザの組み合わせよりも、コンテナとコンテナ運用ソフト(Kubernetes)の組み合わせの方がいいだろう」(Harty氏)

 米Tintri社内でも開発環境としてOpenStackを使っている。ところが、開発者が使っているにもかかわらず、外部のサポートサービスが必須であるという。「OpenStackのサービスチケット費用は、OpenStack環境で使っているハイパーバイザのライセンス費用よりも高く付いている」(Harty氏)

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
月刊 Windows 10移行の心・技・体
ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
セキュリティインシデント対応の現場
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]