横河電機など3社はIoTやAIを連携させて、製造業での生産技術の向上を目的にしたエネルギー管理システム(Energy Management System:EMS)構築の実証実験を10月から開始した。横河ソリューションサービスとNTTコミュニケーションズ(NTT Com)も参加する。
NTT Comは、プラント制御におけるIoT/AI活用の経験を持ち、NTTグループのAI関連技術「corevo(コレボ)」を活用したディープラーニングによる原料生産プロセスと生成物の関係性のモデル化を20分先の未来の製品品質を高精度で予測に成功するなどの実績があるという。
今回は、プラントに必要な計測機器や制御システムなどを開発、製造する横河電機、同社の子会社でプラント高度化などで実績のある横河ソリューションサービスと共同でプラント制御の高度化に向けた実証実験を進める。
具体的には、化学や紙パルプをはじめとしたユーザー企業の工場で電気やガス、燃料などのエネルギー供給と生産稼働の連携で最大効率化を図る「生産プロセス-動力間連携制御」技術や複数の生産工程間の制御連携を最適化する「生産プロセス間連携制御」技術にIoT/AIを活用し、EMSを構築することで工場全体の最適化を目指す。

実験の概要と各社の主な役割(出典:NTT Com)
今回の共同実証実験は、国立研究開発法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進している2017年度事業「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」に「高度EMSによる生産最適化技術の開発」というテーマで採択されている。各社の主な役割は以下の通り。
- 横河ソリューションサービス:大規模工場をモデルとした生産制御技術の高度化
- 横河電機:プラントビッグテータ解析による「生産プロセス間連携最適化システム」を開発
- NTT Com:corevoを活用した「生産プロセスデータ解析支援システム」を開発
今後は、IoT/AIを活用したプラント制御高度化の技術確立や高度EMSの実用化に向け、実証実験で得られた成果と課題をもとに横河電機と横河ソリューションサービスが持つ製造業での経験を生かし、検証を重ねていくとしている。ユーザー企業に最適な生産環境を提供できるように技術の早期商用化に向けた検討もあわせて進めていく。