Salesforceは米国時間11月6日、カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の「Dreamforce 2017」カンファレンスにおいて、開発者が人工知能(AI)と深層学習をより容易に利用できるようにするためのプラットフォーム「myEinstein」を新たに発表した。
今回の発表によると、myEinsteinには新たな予測型の洞察機能やチャットボット機能が搭載されるという。
myEinsteinという新たな機能群が加わっても、「Einstein」のゴールは変わらない。そのゴールとは、開発者にとってのAIの敷居を下げるというものだ。手作業によるコーディングから、ドラッグ&ドロップを用いた手法に軸足を移すことで、今まで以上に幅広いSalesforceユーザーがエコシステムをまたがったかたちで、カスタム化したAIアプリを作成できるようになる。
SalesforceのEinstein担当ゼネラルマネージャーJohn Ball氏はプレスリリースで、「われわれは今日、管理者や開発者があらゆるプロセスや顧客とのやり取りをmyEinsteinによってよりインテリジェントなものにできるようにすることで、AIの民主化をさらに推し進めようとしている。AIを活用したCRMアプリをあらかじめ用意して顧客に提供したうえで、自社アプリの構築やカスタマイズをほんの数クリックで完了できるようにしている企業はわれわれをおいて他にない」と述べている。
ユーザーがAIモデルの構築や訓練、配備を実施する際に、セットアップガイドに従ってクリックしていけるというEinsteinプラットフォームの手法は、myEinsteinでも変わらない。しかしmyEinsteinでは、「Einstein Prediction Builder」と「Einstein Bots」という2つの新機能によって、ユーザーエクスペリエンスにより深みを持たせている。
プレスリリースによると、Einstein Prediction Builderを用いることで管理者は、業務実績の予測精度を高めるために活用できる予測AIモデルをSalesforce内で作成できるようになるという。また管理者は同ツールを用いることで、どのSalesforceフィールド上でモデルを作成するかや、どのようなデータを使用するかといった予測時のパラメータをポイント&クリック形式で指定できるようになるという。プレスリリースでは減少(attrition)モデルが例に挙げられている。
プレスリリースには「これらのシグナル(銀行口座であれば当座預金に設定されている振込/振替口座登録や、顧客からのサポート依頼回数)に基づいた減少スコアをSalesforceの顧客アカウントページに直接埋め込んでおき、解約リスクの高い顧客に対しては、パーソナライズされた1対1でのやり取りを行えるよう、担当者に自動的にアラートを通知するというタスクを生成することで、顧客離れというリスクを低減できるようになる」と記されている。
開発者や管理者はEinstein Botsにより、同様のポイント&クリックインターフェースを利用し、カスタム化したチャットボットを構築できるようになる。プレスリリースによると、Einstein Botsは自然言語処理機能を用いているため、顧客とのやり取りに活用できるという。また、このツールは回答を作り出すために過去のサービスデータやCRMデータを使用するものの、必要に応じて担当者に会話を引き継ぐこともできるという。
Einstein Botsの活用事例として、顧客の注文状況を追跡したり、パスワードをリセットするというチャットボットが挙げられている。
プレスリリースによると、myEinsteinには「Einstein Language」と「Einstein Vision」という、6月に発表されたAPIも含まれているという。Einstein製品マーケティング担当バイスプレジデントのJim Sinai氏は、myEinsteinが「データ科学を縁の下で自動化するもの」だと述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。