海外コメンタリー

成長続くクラウドとデジタル分野のグローバル化を阻む壁 - (page 3)

Steve Ranger (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2018-01-22 06:30

 NCSCは、クラウド製品すべてがセキュリティリスクを生み出すというわけではないとしつつも、政府機関は製品が使用される場所と、その能力について分かっていることを熟考するべきだと付け加えている。サービスが収集するデータと、そのデータの格納場所によって、データの保護に影響を与える司法権限は異なったものとなる可能性がある。

 「こうした理由により、適用可能な法的要求に準拠し続けていくうえで、どのようなデータを収集しているのか、そしてそれがどこに格納されているのかを知っておくのは重要だ。ユーザーデータの保護が不適切である場合、法律による罰則や、規制による制裁を受けたり、自社の評判に傷を付けてしまう可能性がある」(NCSC)

 この他にも、クラウドプロバイダーは地域の法律により、サービスの提供方法を変更しなければならないという場合もあり得る。この顕著な例がAmazon Web Services(AWS)だ。同社は11月、中国におけるクラウドコンピューティングインフラの一部をBeijing Sinnet Technology(北京光環新網科技)に3億ドル(約340億円)で売却した。この売却は、同国のインターネット規制に準拠するための措置であったという。中国の法律では、外国企業による一定のクラウドコンピューティング技術の保有が禁じられているのだ。なお、AWSは12月、中国で2番目となるリージョン(中国(寧夏)リージョン)を開設した。このリージョンは、Ningxia Western Cloud Data Technology(NWCD)によって運営されている。

 AWSの2つの中国リージョンで提供されるサービスはいずれも、同社の他のリージョンのものと同じだが、中国リージョンは他のリージョンとは隔離され、独立して運営される。

 コンサルタント企業Accentureは、さまざまな国がプライバシーの保護とサイバーセキュリティの強化のために規制を加える結果、世界で事業を展開する企業に「デジタルフラグメンテーション」というリスクがもたらされると警告している。

 同社は、法の精神自体は称賛すべきだが、企業にコスト増という重荷を負わせていると主張している。同社が実施した調査で対象となった400人以上の最高情報責任者(CIO)と最高技術責任者(CTO)のうち4分の3は、グローバリゼーションに対する障壁が高まる結果、向こう3年間のうちに地域別市場からの撤退や、市場参入計画の延期や放棄に至るようになると考えている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]