Marks氏は「CIOだけではこのような仕事はできない。信頼できる片腕が必要だ」と述べ、「環境全体がかつてないほど複雑化している。近代的でデジタルなアプリケーションやサービスは統合性や相互運用性に優れているが、実際のところすべてを連携させるための作業はより複雑化している」と続けている。
またMarks氏は、新たなエンタープライズアーキテクトの役割には、データに対する責任も含まれるべきだと述べている。同氏は「これらのデジタルツールは連携が容易であり、情報の移動や利用が機能のすべてとなっている」と述べたうえで、「リアルタイムのレスポンスを得る能力が鍵となる。そうした能力がなければ、競争に取り残されるおそれがある」と語っている。
企業はITベンダーに厳しい質問を投げかける人材を求めている
NHS Blood and Transplant(英国の輸血用血液および移植用臓器に関する事業を担う組織)の最高デジタル責任者(CDO)Aaron Powell氏は、ベースとなるテクノロジを理解しているIT関連の優秀な人材を求める声がやむことはないと考えている。同氏は「われわれが用いているシステムやサービスのいずれもが、言われているほどシンプルなものではない」と述べている。
「これらの人材が、日々の業務のなかで使用するツールを修正できるようになるレベルにまで、ベースとなるテクノロジを理解する必要があるかどうかは、また別の問題だ。(しかし)理解と洞察は、未来のテクノロジプロフェッショナルに対する必須要件となるだろう」(Powell氏)
Powell氏は他の専門家と同様に、未来のIT組織がより幅広いエコシステムに依存するようになり、社内で何カ月もかけてシステムを開発するのではなく、オンデマンドでテクノロジを購入するようになるだろうと認識している。同氏は、ITプロフェッショナルがこれらシステムのプロバイダーに知的な質問を投げかけ、必要な変更を要求できるレベルにまで、テクノロジに対する理解を深める必要があると述べている。
同氏は「またこれには、該当テクノロジを用いて処理しているデータに対する理解や、新しい状況に対して該当テクノロジをどのように適用できるのかという洞察を深めるという意味もある」と述べ、「私は、こういった能力をさまざまな手段で適用する力から、新たな能力と価値が育まれていくと考えている」と続けている。