「デザイン」「セキュリティ」「コラボレーション」を重視
まさにHPのセキュリティ機能へのこだわりを感じさせる今回の新製品だが、この機に同社の法人向けPCにおける製品開発の考え方や今後の事業戦略について話をうかがうべく、九嶋氏から取材の機会を得た。
まず、製品開発のポイントとして、同氏は「ワークフォース(働く人)」「ワークプレイス(働く場所)」「ワークスタイル(働き方)」の3つの動向を注視する必要があると語った。そして、この3つの動向からHPが今、製品設計の“柱”としているのは、ワークフォースでいえば世代ごとのニーズに合わせた「デザイン」、ワークプレイスでいえばどこでも安全に使えるための「セキュリティ」、ワークスタイルでいえば柔軟にコミュニケーションを取れるようにするための「コラボレーション」の機能だと説明した。
今回の新製品でもこの3つの機能への注力ぶりがうかがえるが、中でも際立っているのが先述したようにセキュリティ機能の強化である。しかもユニークなのが、セキュリティに対する基本的な考え方だ。それは、「これまでのようにサイバー攻撃に対する防御一辺倒ではなく、これからは攻撃に対して侵害されることを前提とした“サイバーレジリエンス”を強化していく」(九嶋氏)というものだ。
同社では「レジリエンス」の意味を「緩和と復旧」としているが、意味合いとしては先述の新製品におけるセキュリティ機能の紹介の中で使われている「自己回復機能」と捉えれば分かりやすいだろう。ちなみに辞書を引けば「回復力」とある。
この「攻撃に対して侵害されることを前提としたサイバーレジリエンスの強化」とともに、HPならではのセキュリティに対する考え方としてもう1つ挙げられるのが、「ハードウェアに根差したセキュリティ」(九嶋氏)ということだ。これを具現化したのが、まさしく新製品に搭載されているHPエンドポイントセキュリティコントローラーである。これにより、BIOSのレベルから自己回復機能を実現しているというのが、同社の法人向けPCの大きなアドバンテージとなっているのである。(図1参照)

図1 ハードウェアに根差したセキュリティの考え方(出典:日本HPの資料)