日本ユニシスと日立製作所は、金融機関で本番稼働する基幹システムの運用業務を人工知能(AI)で自動化する共同検証を4月から進めている。
複雑かつ高度な判断が求められる非定型業務の自動化を目指す。システムの警告メッセージが発生した際にオペレーターがエンジニアを呼び出すか否かを、機械学習技術を用いて自動で判断させる。システム障害の予兆を自動で検知する仕組みも検証する。機械学習の技術基盤にはオープンソースソフトウェア(OSS)を用いる。
複雑な判断が必要なオペレーターの非定型業務の機械学習適用イメージ(出典:日本ユニシス、日立製作所)
先立って実施された事前検証では、3カ月分の運用データを使い、ハードウェアやミドルウェアなどによって構成されるプラットフォーム層で確認。その結果、エンジニアの呼び出し要否判断について、オペレーターの判断実績と同じ結果を出すことに成功したという。
今回の本番環境での検証では、監視範囲をアプリケーション層まで広げ、より複雑な判断の自動化を検証するほか、障害予兆の検知から対処方法の提示までを自動化する検証も実施する。
今回の共同検証を通じて、日本ユニシスと日立製作所は、オペレーターの業務負荷や対応時間の削減、運用品質の向上などの効果を図る。また、24時間稼働するシステムでの運用自動化を実現することで、オペレーターの配置や勤務時間を柔軟かつ効率的に検討することが可能となり、働き方改革にも寄与するとしている。
両社は今後、今回の検証で得た知見やノウハウをそれぞれのサービスに生かしていく。日本ユニシスでは、AI技術群「Rinza」を構成するサービスの一つとして位置付け、アウトソーシングサービスなどでの実用化に取り組む。日立製作所では、システム運用管理ソフトウェア「JP1」やIT運用の最適化サービスの機能強化として取り込み、モノのインターネット(IoT)基盤「Lumada」などで活用するとしている。