Constellation ResearchのプリンシパルアナリストRay Wang氏は、次のように述べている。
クラウドの契約は、オンプレミスと同じくらい複雑になっている。企業が独占的な契約を結ぶようになっているのは、設備投資費を削減し、将来的に必要となる統合作業の煩わしさを軽減できる点に魅力を感じているためだ。エンタープライズ業界のルールは依然として正しく、クラウドでも最終的にはスイートが勝利する。イノベーションは、ベストオブブリードを選択した場合の最先端で起こるにとどまる。この良循環によって、大規模なベンダーは、小規模でより機敏なベンダーを買収することで、クラウド市場の売上とイノベーションを取り込んでいる。
なぜ企業は、複数のクラウドプロバイダーを利用する選択を避けるのだろうか。Wang氏によれば、ベストオブブリードのアプローチを採用した場合、人工知能(AI)やアナリティクス、機械学習などの上位の機能を統合するのが難しくなるという。
コンサルティング企業Deal Architectのプレジデントであり、イノベーションをテーマにした著書も何冊かあるVinnie Mirchandani氏は、独占契約を選ぶことを促す経済的圧力が高まっていると認めながらも、マルチクラウドアプローチが衰退すると断じるにはまだ早いと述べている。また、企業は1つのクラウドしか選ばなかった場合でも、マルチクラウドになり得るという。Mirchandani氏は、次のように指摘している。
一部には、NetflixとAWSのように大規模な契約もあるが、マルチクラウドに向かっている企業もある。また(企業が)利用するクラウドを1つに統一した場合でも、利用するアプリケーションプロバイダーは、それぞれのIaaSを別々に選んでいる。例えば、InforはAWSを利用しており、unit4はAzureを、OracleはOracleを、SAPは3大プロバイダーすべてに加え、自社のSuccessFactorとAribaを利用している。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。