データ分析基盤はパブリッククラウドへ移行の方向
IT部門の家村氏は説明の中で、図2を示しながらこう語った。
「私たちはこれまで、あらゆるビジネス分野においての『全社的なデータの利活用』に取り組んできた。そして今、“お客さまを良く知る”ことやアライアンスのために『外部データの利活用』に注力し始めた。そうしたデータ分析基盤は、柔軟な拡張とトライ&エラーができる『パブリッククラウドへの移行』を推進していきたいと考えている」
図2:みずほ銀行のパブリッククラウド利用に向けた実証実験の概要と背景
また、ユーザー部門の黒須氏は、「GCPで分析業務を効率化し、働き方、文化を変えたい」、さらに「行内外連携や分析にGCPをもっと活用して、デジタライゼーションを加速していきたい」と、ユーザーの立場としての想いを語った。
みずほ銀行としてはBigQueryについても、実証実験の段階でまだ正式に採用したわけではないが、家村氏が示唆したように、データ分析のようなSaaSについては今後パブリッククラウドサービスを利用していく方向になりそうだ。
では、IT基盤のクラウド化についてはどうか。折しも、みずほ銀行はこの6月から次期勘定系システムへの移行を開始する大事な局面を迎えているが、そこにはクラウドに関する話はない。そこで、会見後の質疑応答で「IT基盤のクラウド化については今後あり得るのか」、さらにグーグルでの会見だったので「その際はGCPを採用する可能性が高いのか」と聞いてみた。すると、家村氏が次のように答えた。
「クラウド化する領域については、システムの特性や重要度などに応じてオンプレミスの方がいいケースと切り分けて考える必要がある。GCPをはじめとしてクラウドをどう活用していけるか。今はその検証を始めたという段階だ」
この回答はある程度、予想していたが、やはりグーグルの会見にユーザー部門とIT部門のキーパーソンがそろって登壇したこと自体、みずほ銀行の意図を込めたメッセージなのではないか。そんな印象を強く持った会見だった。