社内ITではRPAやSlack活用により効率化
コーポレート領域では、組織のパフォーマンスを向上する環境整備、情報セキュリティ管理、という2つの柱に、AIカンパニーとしての土壌づくりを加えている。
DeNAのIT戦略
社内システムでは、基幹システムとして5年前にNetSuiteを導入、経費精算ではConcur、会計管理ではTableau、連結会計ではDivaなどのパッケージを使い、必要なものについては内製も行う。
会計年2017年度はTableauの全社展開、請求書など業務の電子化、社内問い合わせのAIチャットトライアルなど、大きく8つの作業を行なった。中でも注力したのが、RPAによる業務効率化、それにSlackの活用だ。
RPAでは、3種類のRPAソリューションの中から「実際に開発者に操作をしてもらい、最終的に自社システムとの相性、監査機能、エンジニアの指向性との適合性」などを評価した結果、「Blue Prism」を採用することにした。これまでに10の業務を自動化しているという。
Slackについては、「これまで色々なシステムを導入して来たが、導入後にユーザーにお礼を言われたのは初めて」(成田氏)というほど、社内で好評だったようだ。Slackは開発者が好んで利用し、企業に広がりつつあるチャットサービスだが、DeNAでは2017年、Slackのエンタープライズ版の全社展開を開始した。それだけではない、AIの自動応答チャット、ヘルプデスクの自動チケット発行、ワークフロー承認機能の一元化など「さまざまな施策を考えている」と成田氏はいう。
AI社内問い合わせチャットでは、Googleの自然言語解析のAPI(「Dialogflow」)を利用し、Slack上での問い合わせに対して学習した内容を自動応答するという仕組みを構築している。AIチャットボットの名前は”マリちゃん”。”NetSuiteのマニュアルは?”と尋ねるユーザーに対し、マリちゃんが”以下のヘルプサイトにマニュアルがあります”とリンクをつけて回答したり、”名刺申請はどこからできますか?”という質問に対しては”こちらのKintoneリンクより申請してください”と回答する画面を見せてくれた。
Slackを利用した例では、トイレのドアにセンサをつけ、Google BigQuery上でドアの開閉状況を5秒間隔で更新することでボット経由で空き状況を問い合わせることができる”トイレ空き状況通知ボット”もテストしているとのことだ。
ワークフロー承認では、財務会計のNetSuiteと連携機能を内製開発した。Slack上で承認行為が完結する仕組みを構築する。今後はConcur、Kintoneでも、Slack連携を可能にすべくベンダーに働きかけているという。
このようなSlackの統合性について成田氏は、「Slackは他のシステムとの連携が得意。(連携先の)他のシステムにログインせずに、ユーザーはSlackをユーザーインターフェイスとしてデータの入力などができるようになるのでは」と述べた。
この他、内製した機密情報セキュリティ対策アプリ”Shatto”(Googleカレンダーと連携することで、会議でのホワイトボードの写真を会議の参加者だけがGoogleクラウド上で共有することで、機密情報が漏れないようにする)なども2017年度の取り組みだ。