AR/VR成功の秘訣は?
新しい技術を取り入れてはどうか。
針生氏は、「試行錯誤されつつさまざまな領域に使われるようになった」というVR(仮想現実)とAR(拡張現実)を取り上げた。VRとARはGartnerの2018年の戦略的テクノロジートップ10にも入っており、「仕事の質を上げたり、効率的なワーク環境を実現できる」とメリットを説明する。
針生氏は、VRを「トレーニング、シミュレーションなどないものを使うことで効率を上げる」、ARを「今あるものを仮想的に実現し、それに情報を追加する」と説明しながら、まだ標準がない、通信費用、画像情報・位置情報のプライバシー、コストに見合った成果が出ているかなどの課題も上げた。「最終的なアウトカムや目指す方向性が分かっていないといいものはできないし、やっている途中でぶれることもある。ベンダー任せでは難しいので一緒に取り組むことになる」と言う。
ここでの成功事例として紹介したのがコマツと明電舎だ。コマツはARを利用して施行中の地形と完成地形のデータを重ね合わせて施工の進捗を管理したり、建築現場の上に機械を仮想的に置き、ダンプカーが通過できるか、配置できるかなどの確認を行なっているという。針生氏によると、建築業ではVRやARが進んでいるとのこと。「大きな機械や建物などを実際に配置するのが難しくAR、VRのメリットを生かしやすい」という。
明電舎ではウェアラブルとVRを利用した安全教育を実施している。バーチャルブリッジを渡ってもらうなど座学では不可能な現実味のある体験により、安全に対する意識をさらに高められるようになったという。成功の鍵は、1)安全に投資するという経営層の理解、2)現場の声から作り上げたリアルな教材、3)ベンダー任せにしない担当者の推進力、の3つだ。「どういうことを体験してもらいたいかを決めて、それにあったシナリオを作っている」と評価した。