RPA大手Automation Anywhereが指南する「RPA導入を成功させるコツ」

鈴木恭子 2018年06月07日 07時45分

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 労働人口の減少に直面している日本にとって、労働生産性の向上は喫急の課題だ。

 しかし、現状は厳しい。日本生産性本部が公開した「労働生産性の国際比較(2016年度版)」によると、日本の労働生産性は、主要先進7カ国の中で最も低い。こうしたことから経済産業省は、2030年の労働生産性を2015年の1.6倍(GDP比)にする目標を掲げている。

 だが、これを達成するためには、労働者1人あたりの生産性を1.8倍にしなければならない。

 このような状況で注目されているのが、ロボット(デジタルレイバー)による業務自動化技術である「RPA(Robotic Process Automation)」だ。日本では2015年頃から注目され、2017年には導入企業が相次いだ。適用範囲も経理や会計、人事(給与計算)といった間接業務系から仕入れや調達、販売管理といった直接業務系まで幅広い。

 「業務システムの自動化は20年近い歴史がある。しかし、その効果には疑問符が付く。なぜなら、システム間で連携が完了しているのは、業務全体の20%に満たない。つまり、80%の業務は人手を介して処理されている。これを自動化し、業務全体の生産性を向上させるのがRPAの本質だ。RPAは、人間が実行する作業の中からルーティンな“ロボット”の部分を取り出し、人間の行動を模倣するように学習しながら自動化を進めていく手法だと考えてほしい」

 こう語るのは、RPA大手のAutomation Anywhereでバイスプレジデント兼日本代表を務めるSreeni Unnamatla(スリニ ウナマタラ)氏だ。設立15年目を迎える同社は、100超のパートナーと1000社以上の顧客企業を擁し、グローバルで60万台超のデジタルレイバーを顧客企業先で稼働させている。2018年3月には、東京にも拠点を開設し、日本市場でのビジネスにも注力する。

 Unnamatla氏は「バックオフィスのプロセスは、社歴100年の企業もスタートアップも同じだ。これを効率化しなければ、今以上の生産性向上は不可能だ」と説明する。

Automation Anywhere 共同設立者/CRO Ankur Kothari氏
Automation Anywhere 共同設立者/CRO Ankur Kothari氏

部分最適を期待する日本--全体最適を鳥瞰する世界

 日本でRPAが注目されている要因の1つは「働き方改革」に対する関心の高まりである。特に、長時間労働を解消する“切り札”として、導入を検討する企業は多い。こうした状況についてはAutomation Anywhereの共同設立者で最高売上責任者(CRO)のAnkur Kothari(アンクル コターリ)氏は「ライフスタイルを改善するという観点での導入検討は、日本固有の状況だ」とした上で日本と海外のRPAに対する捉え方の違いを以下のように指摘する。

 「多くの外国企業では、生産性の改善――バックオフィス業務の効率化――によるコスト削減や人的作業ミスの低減、事業再編に伴うデジタル化を目的にRPAを導入している。ルーティン作業を自動化することで、人的リソースの有効活用だけでなく、従業員のモチベーション向上にもつながる。こうした効率化によって(顧客企業の)顧客に対して迅速な対応が可能になり、結果的に顧客体験の向上につながる。つまり、競合優位性を確立できるのだ」(Kothari氏)

 もう1つの違いは、自動化する業務領域とその内容である。日本ではシステムへの入力など、従業員の直接的な作業軽減を目的とすることが多い。一方、外国企業では業務プロセス改革(Business Process Re-engineering:BPR)と、システム全体の最適化までを視野に導入するケースが大半だ。

 Kothari氏は「どちらが正しいということはない。RPAの利点は、スモールスタートができることだ。ある部門で特定のプロセス自動化を試験的に実施し、その実証性を確認した上で全体最適化を図る。経理、人事、財務といったすべての業種、部門で利用している機能からスタートし、全体に拡げていく。こうした傾向は世界共通の使われ方だ」と指摘する。

 「重要なのは、PRAに対する組織的な理解とその教育」だと同氏は説く。RPAで実現できることは何か、その得意分野は何かを理解した上で自動化の優先順位を付けて、業務プロセスを再設計する。その際には、ビジネス部門とIT部門が協調して作業することが重要であるという。

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