MicrosoftによるGitHubの買収発表以来、GitHubの今後に関するさまざまな臆測が飛び交っている。GitHubはLinkedInと同じ道をたどるのだろうか?またGitHubの「Atom」エディタはどうなってしまうのだろうか?「Visual Studio Team Services」とGitHubはどのような関係になっていくのだろうか?
GitHubの次期最高経営責任者(CEO)に就任予定の人物が、開発者らの抱えているいくつかの疑問に答えてくれた。
Microsoftが、ホスティングサービスおよび開発サービスを手がけるGitHubの買収を発表したわずか数日後の米国時間6月7日、MicrosoftのNat Friedman氏がRedditのAsk Me Anything(AMA)セッションに登場した。
Friedman氏はMicrosoftで開発者サービスを担当するコーポレートバイスプレジデントであり、同社が2016年に買収したXamarinの共同創業者であり、CEOを務めていた人物だ。
Friedman氏がAMAセッションの参加者らに語ったところによると、同氏のGitHubに対する初コミット(PHP関連)は、同サービスが開始して1年ほどたった2009年にさかのぼるという。MicrosoftによるGitHub買収の計画とその意図に関するさまざまな質問を投げかけた参加者らの多くは、Friedman氏から期待を上回る答えを受け取った。とは言うものの、MicrosoftのGitHub買収が規制当局から承認を得られるかどうかがまだ確定していないため、すべての疑問には答えられていない。
開発者らは、Microsoftが同社の「Visual Studio Code」(VS Code)エディタと競合するGitHubのAtomエディタ関連の開発を続ける計画でいるかどうかを知りたがっていた。これに対するFriedman氏の回答は、「AtomとVS Codeの双方の開発とサポートを継続していく」というものだった。
同氏は、詳しい背景として以下の内容を語ってくれた。
VS CodeとAtomは実際のところ、多くの歴史とコードを共有しており、MicrosoftとGitHubは何年も前から、土台となるテクノロジの開発で協力してきている。最も分かりやすい成果として、双方のエディタの土台となっている「Electron」が挙げられる。MicrosoftはVS Codeを発表する以前の、Electronが「AtomShell」という名前で発表された2015年からGitHubとともに作業を行っている。われわれは彼らの「Slack」チャンネルに加入するとともに、ハッカソンにも参加し、それ以来、Electronの主要貢献者として活動してきている。また、われわれは他のさまざまな製品でElectronを使用している。
ちなみに、MicrosoftはVS Codeのほかに、「Yammer」や「Microsoft Teams」といったアプリでElectronを活用している。
また、Microsoftは同社ブログへの投稿で、GitHubと「Visual Studio Team Services」(VSTS)を不自然なかたちで統合したり、VSTSを捨て去るような計画を有していない旨を、懸念を持つユーザーに対して伝えている。
Friedman氏によると、MicrosoftのGitHub買収に動揺した一部の開発者らがGitLabといった代替プラットフォームへの移行を決意するのを見るのは「悲しいこと」だが、開発者の意見を尊重したうえで、彼らの信頼を得るために尽力していくという。
さらにFriedman氏は、「GitHubチームの報告によると、(他のサービスに)移行したり自らのアカウントを閉鎖したユーザーは極めて少数だ。しかも、こういったユーザー減少は、今週に入ってからのGitHubへの新たなサインアップや興味の急増で埋め合わされて余りある」と続けた。