今さら聞けないネットワーク回線の基礎

第1回:コンピュータネットワークの起源を考察する

飯田哲也 (アルテリア・ネットワークス)

2018-09-18 07:00

 そもそもネットワークとは網状につながったものである。何を網状につなぐのだろうか? 情報通信の分野においては、コンピュータ同士をつなぐことになる。人はコンピュータという道具を得て情報処理能力を飛躍的に向上させた。コンピュータは情報をデータとして処理する。では、誰がデータを入力するのだろうか? 当然ながら人である。

 情報をコンピュータに入力するには、それが人の理解できる状態でなくてはならない。例えば、文字、数字、画像といった形である。それをコンピュータによって指定された方法で入力するのだ。文字や数字ならキーボードを使って入力する。画像なら画像ファイルとして保存されたものを何らかの方法でコンピュータに入力する。コンピュータはそうやって入力された情報を計算し、計算結果をまた人の分かる形にして画面に表示したり、ファイルとして出力したりする。

 情報処理というものは1度計算をすればそれで終わりというものではない。計算した結果を利用して、また新たな計算をする。そういう処理を繰り返すことにより初めて価値のある情報が生まれるのだ。つまり、あるコンピュータで計算した内容を人が見て、それを別のコンピュータで作業する人に伝えて、その人がまたコンピュータに情報を入力して作業をする……。非常に面倒くさい話である。それならば一つのコンピュータで集中的に作業できるようにした方がいいのではないか? そういう発想で生まれたのがメインフレームと呼ばれるコンピュータである。

画像1

 メインフレームは一台でいろいろとできるのだが、一人がずっと専有するわけではない。そこで、入出力用の端末とつなげてそれぞれの役割の人が作業できる形で利用した。これも一種のネットワークである。しかし、コンピュータが進化し、安価で高性能なものが出始めた。そうなると保守・運用に費用の掛かるメインフレームを使った集中処理より、それぞれ別のコンピュータで分散処理をした方が安く、効率が良いのではないかと思われ始めた。その考えが広まることで集中処理用のコンピュータ(メインフレーム)につなぐためにあったネットワークは、それぞれの役割をこなすコンピュータ同士をつなぎ、その計算結果を媒介するための用途に変わっていった。これが現在のネットワークの原型である。

画像2

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. セキュリティ

    VPNの欠点を理解し、ハイブリッドインフラを支えるゼロトラストの有効性を確認する

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]